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民医連新聞

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一人ひとりが自分らしく生きられる社会へ 民医連SOGIE Fes 2026

 6月5日、都内で民医連SOGIE(※) Fes 2026を開催し、15県連から50人が参加しました。前半では、弁護士の水谷陽子さんが「働く人と患者さん・利用者さんの人権の視点で考えるSOGIの話」をテーマに、学習講演。後半は、指定報告で各地のとりくみを紹介し、配慮した点なども共有しました。(編集部)

学習講演

SOGIについて学び 性のあり方尊重を

弁護士・水谷陽子さん

困難に直面する当事者たち

 今まさに当事者がこの場にいるかもしれないという認識でいっしょに考えていけたらと思います。
 性的マイノリティーの当事者は多くの場面で困難に直面しています。家族や教育の場では、家族から理解が得られずメンタルヘルスが悪化、家から追い出されホームレスに。就労の場では、セクシュアリティーを理由に内定切り・辞職を強要される、職場内でのアウティングやいじめ、同性パートナーが扶養家族と認められず住宅手当などを利用できないなど、多くの困難事例が報告されています。そして、医療の場でも、社会生活上での性別と、健康保険証に記載される性別が異なるために、不安を抱え、体調が悪くても受診をためらうケースや、うつで受診しながら、原因となる重要な背景をどうしても医師に話せない人もいます。

私たちに何ができるか

 職場や医療機関で、医療従事者ができるのは、「SOGIについて学ぶこと」です。多様な性を学び、他者を勝手に詮索し決めつけず、他の人の性のあり方を尊重すること。
 また、情報をていねいに取り扱うことも大切です。カミングアウトされた情報を無断で第三者に明かさない、アウティングしないことを徹底する。制度利用のために情報共有の必要がある場合は、事前に本人と共有範囲を確認し、情報を他の人が簡単に見られるような場所に保存しないなど、工夫が必要です。当事者が、安心して相談できるような体制づくりをすすめてほしいです。
 法律上同性のパートナーがいる職員が利用できる制度は、自分の職場では何があるかを洗い出すことも重要です。税や社会保障など法律上の配偶者でなければ適応できないものを除き、職場で可能な場合はぜひ規則を変えて対応してもらいたいです。「配偶者」とある箇所に、「配偶者(同性パートナーを含む)」と加えるだけで、利用できる制度が大きくひろがります。
 また、患者や利用者に安心して受診してもらえるように受付にレインボーフラッグを置くなど、見えるような形でメッセージを発信してもらえたらと思います。
 性別欄がある書類などは、その必要性をチェックし、必要がないならなくす。必要であれば、その理由が伝わる工夫(法律上、解剖学的な基準かなど)をすることも患者の安心につながります。

理解を深めるヒント

 「マイクロアグレッション(日常的な悪意のない言動が蓄積し当事者を傷つける現象)」は、理解を深めるヒントになります。その一つひとつは小さくても、日々積み重なることで、当事者のメンタルヘルスや能力の発揮に大きく影響することを知ってほしいです。
 また、憲法が保障する「人権」も理解を深めるヒントに。「人権」は誰でも生まれながらにして持っている権利。マイノリティーであっても、貧しくても、どんな人も奪われない権利です。

差別ある法制度を変える

 問題の根本は、法制度のなかに差別があることです。職場での努力と合わせて、法制度を変えていかなければという部分も問題意識として共通目標にできればと思います。自分たちができることを考える時、一人でできることもあれば、民医連という全国組織だからこそできることもあると思います。ぜひいろいろな観点から考えてみてほしいです。


指定報告から 各地のとりくみ

パートナーシップ制度規定について
神奈川・川崎医療生協
星野俊平さん(事務)

 法人のダイバーシティ推進委員会は、2023年に法人の委員会として発足しました。
 学習を中心に、職員の観点と、患者・利用者の観点(問診票やトイレ、院内呼称、フラッグの活用など)から、「LGBTQフレンドリーな事業所づくり」をめざし、具体化をすすめてきました。
 パートナーシップ制度規定は2023年に作成。法人の就業規則、各種制度に対し、職員の「法律上同性のパートナーとのパートナーシップ」について、法律による婚姻関係と同等に扱うことを定めました。また、法人理念、労務管理、人事制度、福利厚生などで「ハラスメントや差別を行わないこと」も前提として書き込みました。
 この制度の検討過程でのポイントは、(1)委員会に労働組合なども参加したこと。労働条件や労基法の視点が加わり、検討が深まりました。(2)アウティングへの配慮。窓口はすべて本部総務課に一本化し、情報の取り扱いも内部でルール化しました。(3)全国各地の同性婚を求める訴訟などを学習しました。
 現在は、委員会と事務局会議を月1回開催しています。目下の課題は、ダイバーシティ委員による法人内事業所チェックです。京都民医連のチェックリストを参考にすすめる予定です。

にじあどチームの活動
奈良・土庫鍼灸治療所
外松慶土さん(鍼灸師)

 2024年に開催した学習講演会をきっかけに、「にじあどチーム」を結成しました。「にじ」は、多様性を象徴する虹から、「あど」は、権利を自ら主張できない人の代弁者となるアドボケイトから取っています。
 毎月1回の定例ミーティングでは、学習や意見交換をしています。職場での気づきや、当事者の声を大切にしながら、実際にどう変えていけるかを考えています。2024年6月からは「にじいろカフェ」を開始。2カ月に1回、毎回テーマを変えて学習と対話の場を設定。基礎知識から、SOGIEハラ・アウティング、「無差別・平等」ってどう思う? など、内容は多岐にわたります。2025年5月の健康まつりでは「私たちだって『いいふうふ』になりたい展」という展示をしました。当事者の思いを紹介するパネルや写真を展示し、来場者からもあたたかい声をもらいました。
 にじあどチームは4人からのスタートでした。メンバーのひとりの医師は、ノバルティスのALLY表明医師マップに登録し、ALLY=味方・支援者であることを可視化してくれました。
 目に見える大きな変化を望む気持ちはありますが、焚火のように、あきらめずに薪をくべ続ければ、いつか必ず大きな炎になります。日本全国に温かい火種がたくさんあることを信じ、いっしょに炎を育てていきましょう。

関東地協SOGIEミーティング
千葉民医連
阿部礼子さん(事務)

 活動のきっかけは、2025年のTokyo Prideに参加した職員の「各県連、活動意欲はあるが、実践できない」という、ぼやきからでした。そのなかで「地協ならできるのでは」という意見が出ました。そこで「とりあえず集まろう。まずやってみよう」と、有志メンバーによるWEBミーティングを開始しました。ミーティングは、参加者が安心して参加できるよう、「言いたくないことは話さなくてよい、相手の意見を否定しない、ここで話されたことは外に持ち出さない」というグランドルールを設定しています。
 第1部は、クイズを交えながら基礎知識を学び、動画を視聴しました。第2部は、交流会。好きな飲み物やおつまみを片手に、カフェのように参加できる会です。継続的に参加してほしい思いもあり、スタンプラリーも取り入れ始めました。
 これまで3回開催し、32人が参加しました。私たちが一番良かったと感じているのは、企画そのものを通して、関東地協のつながりが強くなったことです。準備をすすめるなかで対話が生まれ、地域や職種を越えた交流がひろがっています。
 小さな一歩から「まずはやってみる」、やりながら改善していく。今後も学びと交流の場を続け、多様性を尊重できる組織づくりにとりくみたいと思います。


東京Pride2026に27万人が参加
民医連もアンケートとパネル展示

 6月6~7日は都内で東京prideが開催。全体の参加者数は約27万人。民医連を含む、60団体がブース参加しました。
 民医連ブースは昨年同様「医療機関で何か困ったことはありませんか?」と題し、来場者へのシールアンケートと、パネル掲示を行い、2日間で約900人が訪れました。7日はブースのほかに渋谷・原宿をデモ行進するパレード。東京prideの目玉イベントの一つです。パレード行進には、約1万5000人が参加し、民医連の職員も参加しました。
 富山県から参加した、入江貴子さん(富山協立病院、看護師)は、「規模が大きくて驚いた。職場に戻ったら、就業規則など確認し、来年度からの県連教育にも取り入れたい」と抱負を語りました。
 青森県から参加した、加村梓さん(健生病院、医師)は、「民医連のブースでシールアンケートを行うと、『受付などで名前を呼ばれるのが嫌だ』と言っている人が多くいた。当事者は困っており、病院に行くことの障壁になっている。当事者の声が、全国の民医連の事業所に伝わってほしい」と話しました。
 長野県から医学生と参加した中野良佳さん(上伊那生協病院、事務)は、「シールアンケートでは、医療機関にいろいろな不満や要望があると感じた。意見を知って、声をあげていきたい」と話しました。
 さまざまなヘイトが飛び交う現代社会。性的マイノリティと呼ばれる当事者たちへの風当たりも強くなっているのも現状です。「当事者だけが声をあげなくても良くなるように、アライ(ALLY)として、医療従事者として運動をひろげたい」と光武鮎さん(長野・松本協立病院、医師)は意気込みを語りました。


※【用語解説】
・SOGIE…Sexual(性的)なOrientation(指向)、Gender Identity(自認)、Expression(表現)の総称で、性の多様性をしめす概念
・アライ(ALLY)…性的マイノリティを理解し、支援する人

(民医連新聞 第1855号 2026年7月6日号)

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