相談室日誌 連載605 SWの基本理念を再考 生活保護利用者にかかわって(京都)
50代後半のAさんは、生活保護を利用しながら当院の精神科・精神科デイケアに通院し、精神科訪問看護も利用しながら分譲マンションで独居生活をおくっています。ある日、Aさんが使用していた洗濯機のホースが破れており階下に水が漏れていたことが判明。階下の住人より浴室のクリーニング代の請求と今後も同じことが発生しないように修理の依頼がありました。Aさんにはすぐに払えるお金もなく、どうしたらよいかわからず、不安も大きくなり、調子を崩してしまいました。担当のケースワーカーに相談をしてみたところ、福祉で対応をすることは難しいかもしれないと言われましたが、一度課内で相談することになりました。結果は「住宅維持費として対応します」。と返答があり、安堵した表情を浮かべ、少しずつ調子も戻っていきました。
Aさんは生活保護費の6~7割がマンションの管理費、残りの3~4割を食費、日用品などにあてています。生活保護費が入るとすぐに食料や日用品を購入し、中旬頃には生活が苦しくなります。管理費が高く、貯金ができるような状態ではありません。くらし給付金などの支給があっても、貯金はせずにお金はあればあるだけ使ってしまいます。バランスの取れた食事は精神科デイケアでの昼食だけですが、精神科デイケアに来てもまったく食べない日もあります。今までに空腹を満たすために万引きをしてしまい、警察に捕まったこともあります。
先のことを見据えて、本人の同意の元で成年後見制度を利用することになりましたが、本人が思っていた制度とは違い、自分で管理していた通帳やお金がすべて取られてしまうのではないかと被害妄想に陥ってしまいました。また、相性が悪いと言って保佐人に対し攻撃的に。今の担当者が支援を継続することは難しいと判断し、保佐人の交代を申し立てしました。
Aさんは困ったことがあればすぐにソーシャルワーカーを頼ります。それ自体は悪くないのですが、相手がいる場合にはすべての説明をソーシャルワーカーに任せ、丸投げ状態で本人は結果待ちをするだけということも多々あります。できることは本人に、できないことは支援する、ソーシャルワーカーの基本理念を再考させられます。
(民医連新聞 第1855号 2026年7月6日号)
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