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民医連新聞

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模擬原爆投下の地に9条の碑 戦争反対の思いを未来へ 福島

 福島県福島市で5月3日、憲法9条の碑の除幕式が行われました。全国82番目、県内では初の9条の碑です。(多田重正記者)

 建立のきっかけは昨年3月。戦後80年で、9条の碑の建立が各地にひろがるなか、福島県九条の会会員で石材業を営む岡部淳一さん(古殿町町議)が福島県九条の会に石材の提供を申し出ました。
 県九条の会は、全日本民医連が9条の碑の建立を促進していると聞き、4月に福島県民医連、福島医療生協、わたり福祉会に協力を要請。福島医療生協専務理事の山口裕さんは「当法人でも9条の碑を地域のみなさんとつくりたいと議論していました。『ぜひいっしょに』と答えました」と話します。
 同年9月末、福島市内に12ある九条の会、県立高校教職員組合などと、福島県民医連と前述の2法人に薬局法人の福島ファルマプランも加わり、建立実行委員会を結成。憲法共同センター、県労連、新日本婦人の会などが賛同団体となり募金活動をすすめました。

仏教の教えは平和主義

 建立地は、医療生協わたり病院と同じ渡利地区にある瑞龍寺です。1945年7月20日~8月14日、米軍は原爆の投下方法の検証や訓練のため、模擬原爆を日本各地に49発落とし(図)、1600人以上の死傷者が出ました。7月20日、渡利地域に落としたのは最初の模擬原爆1発で、14歳の少年が犠牲に。遺族が模擬原爆の破片の一部を持っていましたが、後に瑞龍寺に託しました。
 県九条の会は、犠牲となった少年の菩提寺でもあることから、瑞龍寺に敷地提供を依頼。住職の亘理正明さんは快諾しました。
 「仏教は平和主義。お釈迦様も王族でしたが『自分がたたかえば多くの人が死ぬ』と思って出家した。争いはしない、武器は要らないというのが仏教の根本的な教えです」と亘理さん。「亡くなった人たちは戦争は嫌だ、死にたくないと思ったのでは。残された人たちに『幸せになってほしい』と願ったかもしれない。それを反映したのが憲法9条だと思います」。

県外からも寄付 募金額は目標の2倍に

 「福島に県内初の9条の碑を」という運動は、反響を呼びました。地域の九条の会を中心に募金を集め、目標100万円に対し、200万円あまりが集まりました。寄付は岩手、東京、愛知、沖縄など、県外からも寄せられました。
 民医連事業所も募金活動を行い、わたり福祉会では、後援会組織「はなネット友の会」と共催で昨年7月、被爆者の木村緋紗子さんを招いて講演会。「8回の手術を受けて生きながらえてきた」との訴えに「戦争反対」「核も原発もこの世界にはいらない」などの感想が出て、非戦の誓いを新たにしました。

現政権に負けないとりくみを

 完成後も宮城や茨城など県外から見に来る人がいるなど、反響は続いています。高市政権が改憲と軍拡をすすめるもとで、実行委員長をつとめた今野順夫さん(福島大学名誉教授)は「九条の会にどうしたら入れるのかと問い合わせも来ています。9条の碑は将来を見据えた記念碑。子どもたちと平和を考える材料に」と話します。
 模擬原爆の被害を知らない民医連職員も多く、課題です。福島県民医連の渡辺喜弘事務局長は「福島市では2000年前後、模擬原爆の証言を聞き取り、記念碑をつくろうという市民運動もあった」と話します。医療生協わたり病院もその運動の中心にありました。
 同県連事務局の松崎聡さんは「次は模擬原爆の碑を。9条の碑や看板もどんどんつくって、楽しく発信し、現政権に負けないとりくみをひろげたい」と語りました。

(民医連新聞 第1856号 2026年7月20日号)