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民医連新聞

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これで学ぶ 暮らしのなかの社会保障 ④子ども・子育て支援金は「打ち出の小槌」の始まり

 政府は2023年12月にこども未来戦略「加速化プラン」を策定し、1・1兆円の「社会保障の歳出削減」と、「子ども・子育て支援金」で1兆円を確保し、それらを財源に実施するとしました。今年4月から同支援金制度が始まり、5月からはすべての国民が加入する医療保険の保険料に上乗せする形で支援金の徴収が始まりました。徴収される支援金額は、健康保険被保険者一人あたり平均約500円、国民健康保険一世帯あたり平均約300円、後期高齢者医療保険被保険者一人あたり平均約200円となっています。
 政府は、毎月徴収する支援金額は歳出改革と賃上げによる負担軽減効果の範囲内で設定したことから実質的な負担は生じないとしていますが、社会保障の削減による負担増に加えて、実質賃金は2020年を100とした場合、1999年111・8、2000年114・9、2025年111・7(厚労省毎月勤労統計調査により算出)で、やっと1999年に戻った程度です。このように実質賃金が1990年代以降ほとんど上昇していない現状では全く説得力のない妄言です。
 いま政府は、医療・介護の制度改悪をめぐって「能力に応じた負担を」などと説明し、追加負担を求めていますが、日本の社会保険料負担率は所得が高くなるほど低いのが現状で、わずかな額の支援金徴収だとしても、低・中間所得層の負担割合が増すのは火を見るより明らかです。
 これまでの政府の政策は、国民への負担増と国民同士での水平的所得再分配にすぎません。お金のある人から無い人へ垂直的な再分配こそが必要です。高所得者はしばしば自分は「努力の見返り」としてより多くの分配を得ていると考えがちですが、実際には周りからのたくさんの支援があったことを捨(しゃ)象(しょう)しています。大手の自動車会社が輸出により膨大な利益を上げられたのも、国民による多額の税金などが投じられて整備された道路網や港があったからこそです。高い所得や大きな利益の多くは、国民の協力・協働の結果ですから、応分の負担で国民に還元するのは当然ではないでしょうか。
 子ども・子育て支援金制度は、自民党が2017年に「子ども保険」として構想した制度の焼き直しで、消費税のような「目に見える増税」ではないかたちで実質的な負担増をねらったものです。
 しかし、危惧されるのは、医療保険制度とは直接関係のない分野への支出を目的とした「支援金」が制度化されたことで、将来的にはさまざまな分野への支出を目的とする「支援金」が創設される可能性があることです。例えば、「防衛支援金」などが考えられます。支援金制度が、政府にとって都合の良い「打ち出の小槌」と化すことのないよう、私たち国民は常に監視しなければなりません。

社会保障研究者・水彩画家
芝田英昭

(民医連新聞 第1857号 2026年8月3日号)