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民医連新聞

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副作用モニター情報〈663〉 セフトリアキソン脳症が疑われる意識障害

症例
血液透析を受けている70歳代後半の男性。体重39kg。
1日目:肺炎治療目的で入院、CTRXを2gで連日投与開始。
10日目:活気不良となり、両側上肢に不随意運動が発現。家族から「自分がどこにいるかわからない」との電子メールが送られてきたと情報提供あり。頭部CTと頭部MRIでは病変指摘なし。
11日目:ビタミンB1 血中濃度2.0μg/dL(基準値2.6~5.8μg/dL)とやや低値、念のためのビタミンB1製剤の投与開始と同時にCTRXからSBT/ABPCに変更。
12日目:意識障害、不随意運動は改善、言語の症状は回復。

 抗菌薬関連脳症(AAE)はType1(βラクタム系)、Type2(キノロン系/マクロライド系)、Type3(メトロニダゾール)に分類され、それぞれ特徴が異なります。Type1は「投与開始数日以内に痙攣、ミオクローヌス、てんかん波が起きることが特徴で、投与中止後数日で症状が改善する」とされており、本症例とほぼ一致します。作用機序については、GABA受容体への神経伝達を阻害し、興奮性神経伝達を活性化するだけでなく、可逆性の神経毒性も加わる、とされています。
 CTRXは、中枢へ移行します。また、排出経路に胆汁排泄(約45%)と腎排泄(約55%)の2系統を有しています。腎障害のある状況でも投与量や投与間隔の調節は不要とされていますが、高度腎障害のある場合や透析患者では半減期は大幅に延長し蓄積のリスクが生じるため、添付文書には、投与量について1g/日を超えないよう記載されています。2g/日で治療する場合は血中濃度測定(一般病院では事実上不可能)しつつ透析で除去される量を考慮して投与設計することになるため、かえって投与方法は複雑になってしまいます。本症例は過量投与だったかもしれず、透析患者にはSBT/ABPCもしくは透析後だけの投与で済む腎排泄型のCTXのほうが簡便に投与できると考えます。

(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

副作用モニター情報履歴一覧

(民医連新聞 第1858号 2026年8月17日号)