診察室から 10年先を見据えた病院づくり
松島海岸診療所歯科において訪問歯科診療を行って4カ月がたちました。訪問歯科診療では、施設に入居している人や外来に通院するのが難しい在宅の人に対して、虫歯や入れ歯の治療と並行して歯周病の治療や歯科衛生士による口腔ケアを行っています。噛むことができなくなれば低栄養に陥ってフレイル状態となり、また口のなかが汚れた状態が続けば、誤嚥性肺炎や糖尿病の悪化など全身疾患に様ざまな影響を生じるため、こうした治療は通院が難しい高齢者にも必要になってきています。
当院がある松島町でも高齢化がすすみ、独居や老老介護のなかで生活している人が増えています。また、施設に入居している人においても口腔崩壊がすすみ、満足な食事をとれない患者も増加しています。そのなかでも寝たきりの人や、姿勢を保持するのが困難な人を診ることが多く、無理な姿勢で診療をすることがあるため、自宅での筋トレが日課となりました。それとともに、器具・器材が万全ではないこと、さらに治療に協力的でない人も多く、どのように接するかを考えながら治療を行っているのが現状です。そのため、以前当診療所で訪問診療を行っていた先生にたびたび来てもらい、訪問歯科診療を行っているうえでの悩みや、患者への対応などについて相談し、少しずつ解決しながら日々の診療を行っています。
民医連の医療は、ただ単に病気だけを見るのではなく、その人の生活と地域を丸ごと捉える医療だと思います。訪問歯科診療はまさにその理念を現場で形にするとりくみであると思います。患者のくらしの場に行くたび、医療は地域の信頼関係の上に成り立っていると感じます。先輩方が築いてこられた地域とのつながりを大切にしながら、私もまた、松島の地で無差別・平等の医療を行い、住み慣れた場所で安心してくらし続けられる支援を行っていくチームの一員としてこれからも活動していきたいと思っています。
(田中雄祐、宮城・松島海岸診療所歯科)
(民医連新聞 第1858号 2026年8月17日号)
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