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民医連新聞

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私たちが求めるケア ⑪介護保険制度はどこへ向かうのか 文/志田信也

 2026年6月19日、「社会福祉法等の一部を改正する法律」が成立しました。今回の改正には、人口が減る地域でも介護サービスを維持できるよう、人員基準柔軟化や定額報酬を導入する「特定地域サービス」、市町村が事業を行う「特定地域居宅サービス」の新設が盛り込まれています。人手不足な事業所への配慮、市町村事業への移行は、現実的な選択肢として一見やむを得ない措置のようにも見えます。
 しかし、私たち利用者側の立場としては、この方針に大きな危機感を抱いています。当事者や家族にとって、介護保険制度は「介護のあるくらし」をささえる存在です。それだけに、制度が始まってからの26年間、訪問・通所介護の給付抑制、特別養護老人ホーム入居が原則要介護3以上に厳格化されたこと、利用者負担の段階的な増額など、負担が増えてサービスが縮小してきた歴史に、大きな不安を募らせてきました。
 今回の改正によって、人手不足を理由に利用を断られ、必要なサービスが減るのではないか。在宅介護において、家族の負担がふたたび重くなるのではないかと不安になります。身近に頼れる人がいない孤立した要介護者はどうなるのでしょうか。
 介護保険制度の誕生で、介護は社会全体でささえるものとなりましたが、孤立死や介護心中、虐待といった悲しい出来事は後を絶ちません。政府が掲げる「介護離職ゼロ」の目標もまだ遠く、働きながら介護する人の離職も減っていません。こうしたなかでの法改正は、利用者や家族の不安をさらに深めるものとなっていると言えます。
 日本全国、すべての要介護認定者が公平に、安心して給付を受けられるべきです。認知症になっても、介護が必要になっても、その人らしく生きていけることをめざす介護保険制度の根幹を、今こそ大切に守り抜くことが求められます。

しだ しんや 公益社団法人認知症の人と家族の会 副代表理事

(民医連新聞 第1860号 2026年9月21日号)