非戦・人権・くらしをかかげて 第1回評議員会の発言から
8月22日に行われた全日本民医連47期第1回評議員会の発言の概要を一部紹介します。
被災地でいのちをまもるために
熊本・重岡伸一評議員は、7月28日の令和8年熊本地震について報告。発災後すぐに県連災害対策本部会議を開催。7月29日、被災した八代市の精神科病院の患者19人を菊陽病院に受け入れました。
八代市、氷川町を中心に断水・停電が。7月31日から八代中央クリニックで旧デイケア室のシャワー設備を開放し、8月21日までにのべ1020人が利用しました。
八代健康友の会、くまもと健康友の会の会員で八代市民728人(470世帯)に電話し、248人(34%)と対話。訪問を行い、被害の実態を把握しました。
石川・藤牧圭介評議員は、能登半島地震から2年9カ月、豪雨水害から2年7カ月の能登半島の現状について発言しました。
被災前から課題だった医療提供体制がより深刻になるなか、奥能登の4つの公的病院の入院機能をなくし、奥能登に新たな病院を建設する構想が浮上しています。「パンデミックや震災時に公的病院が果たした大きな役割を考えると、病院の存続と安定的な稼働は当然の住民の願い」と藤牧さんは指摘。平時からの社会保障の拡充、健康権、住み続ける権利の保障という行政の責任を果たさせるために声をあげていくとのべました。
憲法を生かし平和な未来を
沖縄・後藤勝治評議員は、沖縄県知事選挙への決意と選挙の全国支援について発言しました。7月14日「県知事選挙勝利で基地のない平和で誇りある沖縄を! 全国連帯集会」は384人が参加。全国の支援者登録数も4年前を上回る規模に。「新基地建設は断念させなければならない。この選挙は沖縄だけでなく、日本の今後の歩みを左右する極めて重要な選挙。子や孫たちに、平和な未来と夢や希望が持てる社会を手渡すために勝ち抜こう」と訴えました。
新潟・宮野大予備評議員は、改憲阻止のとりくみを報告しました。
事務長・次長会議では、トリオセッションを実施し、署名依頼にどんな言葉を伝えるのか、対話のイメージを共有しました。
各事業所では独自にポスターも作成しています。その他、「推しの憲法動画募集」、ペンライト行動、ドットシールアートによる「対話の見える化」など楽しく、気軽に参加できる工夫をひろげていることを紹介しました。
経営困難に立ち向かい共同もひろげて
宮城・大内誠評議員は、「原油価格高騰に伴う医療材料・介護用品の不足・高騰から地域住民を守るため対応を求める要望書」を県知事あてに提出し、県と懇談した経験を報告。医療現場ではニトリルグローブの値上げが深刻で、宮城厚生協会だけで1000万円の費用増加。薬局でも介護現場でも中東情勢が追い打ちをかけて費用増につながっており、「現場の努力だけでは対応できない構造的な問題」として県に訴えました。
同県連は医療材料・介護用品の必要量を国と県が確保し供給すること、財政支援、物価に見合う診療報酬・介護報酬制度の構築を国に求めることなどを要請しました。
山梨・関本義彦予備評議員は、全日本民医連が提起した「地域医療の存続をかけた経営実態アンケート」の実践を報告。山梨民医連の病院をのぞく57病院のうち42病院に働きかけ、訪問や電話で懇談し、21病院から回答を得ました。
人材不足、病床の稼働低下、経営環境の厳しさなどを聞くことができ、「民医連が主導・先導してくれたおかげで声をあげることができた」「困難なときだからこそ、協力・連携しながらいっしょに地域医療を守っていきましょう」などの声も聞くことができました。
学び合い育ち合う
奈良・吉兼未来評議員は、全日本民医連の47期運動方針学習のとりくみについて発言。同県連では、県連内の職場責任者433人の読了率91・7%を達成しました。グーグルフォームで感想文を提出することで読了を確認。職責者の名簿をグループウェアで発信し、読了と未読了がわかるようにすることで、「私も読まなあかんなあ」「○○さん、まだ読んではれへん、声かけないと」など、読了にこだわる前むきな変化が。最後まで残った人にも「誰一人取り残さない」スタンスではたらきかけました。
徳島・高原由江予備評議員は、新入職員研修で実施している事業所訪問について発言しました。
徳島民医連は、昨年度より、学びの機会を保障する観点から、新入職員研修で、訪問できていなかった健生西部診療所を訪問しています。同診療所は1985年に発足。山間部にあり、林業や鉱山の掘削、トンネル工事などのため、振動病患者が多く、県西部で労災職業病の診療ができる医療機関として誕生しました。研修では所長、事務長、看護師長などが医療活動をくわしく説明。「地域に根差した医療の意味がわかった」など、民医連の理念の実践を肌で感じる機会となりました。
神奈川・川瀬敏正評議員は、2026年7月2日から3日にかけて、神奈川民医連で県連理事・法人事業所管理者研修会として、福島原発事故被災地支援ツアーを実施したことについて発言しました。この研修は、原発事故から15年という節目の年に、管理者が現地の実態を直接学び、平和・反核・脱原発のとりくみを組織的に推進するために位置づけられたものです。
復興のすすみ方や課題を深く考える機会となり、民医連として被災者の声を社会に届ける役割、風化を防ぐために学び続ける姿勢の重要性を共有しました。
ひろがる貧困 人権守る社会保障制度を
北海道・折出洋子評議員は、勤医協中央病院で「断らない救急」にとりくむ一方、経済的理由や社会的孤立から受診が遅れ、いのちを落とす患者が後を絶たない実態を告発。無保険のまま結核で亡くなった男性や収入減の不安から受診をためらった患者などを紹介。医療につながる前にいのちが奪われる現実は、社会保障費抑制政策がもたらす「いのちの危機」だと指摘しました。また「こうした事例を知らない職員に日常の実践で起きていることを知らせることから、大きな運動につながる第一歩にしていきたい」と話しました。
福井・堀和子評議員は、OTC類似薬の保険給付見直しについて発言。無料低額診療事業の利用者にも受診を控えたり、薬を間引いたり、処方せんが出ても薬を受け取らない患者がいる実態があり、さらなる負担増で治療継続が困難になる危険を指摘。福井民医連では、学習会や薬局待合室での署名にとりくみ、患者からも「保険から外れたら困る」との声が寄せられています。社会保障を守るため、仲間を増やし、声を上げることの重要性を訴えました。
大阪・北芝典子評議員は、耳原総合病院で16年間に無料低額診療事業を適用した約2000事例の分析を報告。近年は生活保護基準を上回る世帯や社会保険加入者にも同事業の利用がひろがり、困窮理由の約9割を「低所得」が占めると指摘しました。年金受給者や就労者でも医療費を払えていない実態から、社会保障制度の「ほころび」が表れていると強調。北芝さんは「無低診にとりくむ私たちだからこそ見える実態がある」と訴え、全国の制度利用データを調査し、貧困の実態を可視化し、受療権を守る施策提言につなげようと呼びかけました。
岡山・黒瀬健弘評議員は、後期高齢者医療の窓口負担2割化について、県連12事業所、1564人を対象に行った調査を報告しました。配慮措置終了後、約6割は負担増が1000円未満でしたが、5000円以上増えた患者も40人おり、重症で医療を必要とする人ほど負担が重くなる「重症ペナルティ」の実態を指摘しました。別の調査では22%が受診回数や薬を減らすと回答。平均額だけでは見えない患者の生活実態を現場から把握し、受診抑制や治療中断を防ぎ、患者の声を自治体や国への働きかけにつなげる重要性を強調しました。
医師・看護師の確保と養成
東京・牛澤多恵子評議員は、看護師の人員確保について発言。
既卒看護師確保のために2025年度、東京民医連全体で人材紹介業者に支払った金額が看護部門では1億40万円にのぼり、経営を圧迫。現場の人員不足に乗じて人材紹介業者も紹介料を引き上げている実態があるとのべました。
患者のいのちと暮らしの守り手である民医連の看護の質を守るためにも、紹介業者を使う看護師たちにむけてもこのような仕組みを知らせ、人材紹介業者の多額な紹介料を是正するとりくみが必要と強調しました。
宮崎・高田慎吾評議員は、宮崎民医連の医学対活動について発言。同県連では今年3月、3人の奨学生のうち2人が卒業し、奨学生が1人に。しかしその後7人の奨学生が誕生しました。高校生からのつながり学生や県連の奨学金制度のチラシを見て申し込んだ学生もいます。
奨学生増加の背景として、宮崎大学の地域枠や、コロナ禍の自粛制限解除により、直接、民医連や医療生協の医療活動を体験してもらう機会が増え、本来の医学対活動ができるようになったことなどをあげた高田さん。SNSなどを活用した情報発信や、高校生1日体験などで、現場で働く医師の姿を見て影響を受けた人も多いのではないかと語りました。
福岡・角銅しおり評議員は、オール県連でとりくんだ2026年医学生新歓企画を報告しました。
新歓企画は、福岡・佐賀民医連で、24年ぶりに策定した3次医師政策の一環として実施。2月に県連統一のキックオフ集会をWEBで開き、114人が参加。各法人からは、奨学生だった研修医のメッセージや、今の奨学生活動を紹介し、今期の新歓活動方針を確認。1職場1企画を各法人でつくり上げて医学生の受け入れを準備し、目標8人に対し、6人の奨学生が誕生しました。新しい奨学生たちも民医連企画に参加し、とりくみを通じて成長しています。
(民医連新聞 第1860号 2026年9月21日号)
