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民医連新聞

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日本経済の軍事化へ舵 「積極財政」の名で財政の規律も破壊 「骨太の方針」2026を読み解く

 今年7月、「経済財政運営と改革の基本方針2026」(通称「骨太の方針」)が閣議決定されました。2001年に小泉政権が初めて作成し、その後民主党政権(2009年~2012年)時代をのぞき、歴代政権が毎年6月ごろに決定してきたものです。この「骨太」は、年末に閣議決定される次年度の予算案作成に向けた基本方針です。物価高の進行で国民生活は苦しくなり、将来不安も高まるなか、これにどう応えるのか。全日本民医連介護・福祉部の林泰則さんに話を聞きました。(多田重正記者)

「財政健全化」の文言消える

 今回の「骨太」の最大の特徴は、「戦争する国」をめざし、「総合的な国力を徹底的に強くしていく」ことを掲げ、日本の経済財政を「軍事型」へと本格的に舵を切った点にあります。
 その「中核」は「責任ある積極財政」のもとでの「『強い経済』の実現」であり、「未来への投資不足」が経済低迷の原因だとして「投資不足の流れを断ち切るとともに、世界的な産業政策の大競争時代に対応していくため、(中略)政府が一歩前に出て、官民手を携え、戦略分野への投資を進める」と宣言しています。
 「骨太」ではその戦略分野について、2040年までに総額370兆円の官民投資を想定しています。戦略分野は大きく17あり、「戦争する国づくり」を国が民間とともに強力に推進する内容です。AI・半導体などとともに防衛産業も掲げ、防衛装備品の移転(輸出や払い下げなど)も含めて、経済成長をはかる中軸に据えています。こうした大企業・防衛産業への支援には予算上の制約をいっさい設けていません。
 もう一つ重大なのは、昨年まで記載してきた「財政健全化」の文言をなくしたことです。「単年度の黒字化時期を機械的に追うのではなく(中略)一時的な悪化も許容し得る」とし、財政収支の悪化を事実上容認しています。肝心の財源も示されておらず、「責任なき放漫財政」と言わざるを得ません。財政悪化は避けられず、この点が高市政権の最大のアキレス腱になるとも考えられます。

国民皆保険制度の事実上の解体へ

 では、国民生活の課題にはどう応えるのか。残念ながら国民生活は全体として「経済が成長すれば国民生活も向上する」という考え方でそのままです。しかも賃上げを掲げるものの、物価高なのに、最低賃金の全国平均1500円実現は、目標に掲げていた2020年代ではなく、2030年代前半へと大幅に後退させています。
 社会保障も「成長型経済に合わせて、持続可能な設計に変えなければならない」としており、毎年の社会保障費の伸びに上限を設け、改悪をさらに前にすすめることを宣言しています。70歳以上の高齢者の医療制度は「原則3割負担となっている現役世代との間で年齢によらない真に公平な応能負担を実現する観点から見直し」。介護保険の2割負担の判断基準の見直しも、今年度中に結論を得るとしています。医学部の定員削減も掲げています。
 日本維新の会と自民党が組んだことで急速に審議、決定したOTC類似薬の保険給付見直し(一部保険給付適用外に)も2027年3月に始まりますが、「2027年度以降の対象範囲の拡大に向けた検討」を明記。国民皆保険制度の解体に事実上踏み出したと言っても過言ではありません。

「ミサイルよりケアを」の声大きく

 結局「骨太」は物価高には無策で、医療・介護などの将来不安にも応えず、逆に改悪をすすめるなど、国民の要求と乖離したものになっています。「骨太」は副題に「責任ある積極財政元年」を掲げますが、国の財政規律も壊しています。
 くらしと平和を根本から壊す「骨太」の内容をひろく患者・利用者、地域住民にも知ってもらい、社会保障の抜本改善や、軍事ではなく平和、国民生活を重視した政策への転換を求めて、幅ひろい人たちと手を携えて運動をひろげましょう。

(民医連新聞 第1861号 2026年10月5日号)