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民医連新聞

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第17回共同組織活動交流集会in東京 記念講演 いま憲法を知り、主体的に使いこなそう 弁護士 太田啓子さん

 弁護士の太田啓子さんが「そもそも憲法って何? 普通の生活を守るために知っておきたいこと」について講演。概要を紹介します。(奥山千佳記者)

 「憲法を変えることに賛成? 反対?」「護憲派? 改憲派?」という質問にみなさんならどう答えますか。憲法には99条の条文があります(補則を含めると103条)。具体案が出されれば答えられるかもしれませんが、漠然と聞かれても、答えようがありません。
 大事なのは「護憲」でも「改憲」でもなく、憲法とは何かを理解し使いこなす「知憲」です。

■憲法とは何か

 日本国憲法を尊重し、守らなければならない義務を負う人は誰でしょうか? 答えは99条にあるように、天皇や国会議員、裁判官など国家権力を行使する立場にある人です。国民個人には憲法を守る義務は課せられていません。
 国家権力とは、役所などが持つ強制力のことです。たとえば運転免許は、違反が重なれば停止になります。食中毒を出した飲食店は営業停止になり、税金も強制的に徴収されます。この強制力がなければ社会は回りません。しかし強い権力を持つと、人間は濫用します。その結果、人権侵害が歴史上何度も繰り返されてきました。その失敗を繰り返させないためにつくられたのが憲法なのです。
 国民が国に対し「この範囲で政治をしなさい」と縛るルールが憲法です。憲法は国民から国家権力に対する命令で、内容は国の歴史や価値観によって違います。日本なら、戦争をしてはいけない(9条)、誰にでも健康で文化的な最低限度の生活を保障せよ(25条)などです。そして、国家権力を憲法で制限し、個人の人権を守る。これが立憲主義の考え方です。憲法は最高法規で、憲法違反の法律はつくっても無効です。

■危険な状況が続いている

 2012年、自民党が作成した「日本国憲法改正草案」の99条には、憲法を尊重する義務の対象者に、これまで入っていなかった「全ての国民」の文言が入っています。憲法とは何か、立憲主義とは何かを理解していない人びとが憲法を変えようとする政治状況が続いていることは、とても危険です。

■憲法の存在意義

 「憲法があって本当によかった」と思うのは、自分が少数派になった時です。多数意見によって、少数派の差別されない権利が侵害される法律ができても、憲法は味方で、少数派の最後の砦(とりで)です。
 憲法の意味をよく理解し、おかしな改憲案があった場合は強い姿勢で反対する反射神経を持っておいたほうがいいと思います。
 憲法違反の法律は、国会でつくられてきました。しかし、個人の人権を保障しない法律は、その法律で権利侵害を被っている人が憲法違反だと裁判で主張するなど、憲法を使って変えていくことができます(例えば刑法200条の尊属殺重罰規定は、憲法14条に違反するとして最高裁がこの法律を違憲と判断)。

■戦争できる国づくり

 防衛費は信じられない規模で増える一方、社会保障は減っていきます。国全体が戦争にシフトしているのは明らかです。反対運動がなければもっとひどくなっていたと思います。声をあげることには、確かに力があります。
 一方で、戦争で儲かる企業の株で個人が利益を得る、親族が武器を作る企業で勤務しているなどで、反戦と言いづらくなる状況も生まれています。
 衆議院の比例区の議席を減らす議員定数削減法案が、臨時国会で議論されます。削られるのは比例区で、少数派の声をひろう議席です。今以上に多数派の力が強くなり、おかしな法律が通りやすくなります。絶対に反対していきましょう。

■最後に

 憲法12条には「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」とあります。憲法に書いてあるからずっと平和、というわけではありません。憲法を使って一人ひとりが主体的にどう動くか、そして、黙らないこととだまされないことがとても大切です。

(民医連新聞 第1862号 2026年10月19日号)