第17回 全日本民医連共同組織活動交流集会in東京 全国にひろがるまちづくりの実践 分科会の演題から
共同組織活動交流集会では7テーマ24会場で284の演題が発表されました。一部を紹介します。
第3分科会③
安心して住み続けられるまちづくりのとりくみ
第3分科会第3会場「安心して住み続けられるまちづくりのとりくみ」に12演題を発表しました。
岡山ひだまりの里病院の黒瀬健弘さん(事務)は「空き家対策から始まった認知症にやさしいまちづくり―駆け抜けた5年間・カモメ朝市の軌跡と地域のこれから―」を報告。地域から寄贈された空き家を改修し「コミュニティースペース阿津ひだまりの里」を開設。また別の空き家を解体し、広場を整備し、町内会長の提案で朝市も実施。イベントの持続可能性や医療機関と地域のかかわりを発表しました。
東京・やまと健康友の会の石田千恵子さんは、どのような最期を迎えたいのかを考えるため「健康講座ACPについて学びましょう」のテーマで健康講座を中野区や地域包括支援センターと共同で開催。他者の人生を追体験することで、人生の節目で起きる出来事にどう向き合ってきたか、ゲームで進行しました。
神奈川・よこはま健康友の会の栄義昭さんは、地域を結ぶかけ橋の鶴見川人道橋をまもった運動を報告。1日700人が利用していた橋が撤去されることになり、その存続のために、友の会支部が中心になって、宣伝や署名活動を開始。町内会会長、横浜市、議員に要請。地域を巻き込んだ運動が実り、2025年に幅4メートルの新しい橋ができました。
大阪・西淀川/淀川健康友の会の西村俊治さんは「地域住民と未来の子どもたちに安全な水を PFAS対策にとりくんで」を報告。会員の多くがくらす地域の上流にはPFASを製造していたダイキン工業があり、大規模な血液検査を実施。健康被害の学習会や、水道水のPFAS濃度に欧米なみの厳しい基準を求めるパブリックコメントなどの運動をひろげています。
東京・三多摩健康友の会の澁谷直さんは「横田基地PFAS汚染・会員の血中濃度検査と水道水調査」を報告。昭島相互診療所と共同し血液検査を実施。農民連や大学の協力で井戸水、水道水も調査し汚染の実態を明らかに。「安心してくらしていけるまちづくりにとりくむ」と決意を語りました。
石川県健康友の会連合会の木村吉伸さんは、「能登半島地震で広域避難した人びとに寄り添い尊厳を大切にしてきた友の会」活動を報告。広域避難により金沢市の賃貸住宅で「みなし仮設」住宅として生活を始めた人びとにつながりをひろげ、友の会活動の日常的な参加をめざしてとりくんできました。金沢市に住民票を移したある被災者は「なにかボランティアをしたい」と声をかけてきました。歌声企画やサロン、食事会、秋の旅行などにも参加し、支援する・支援される関係ではなく、お互いに寄り添い、ともに歩く存在だと実感していると報告しました。(長野典右記者)
第4分科会④
通いの場・居場所づくりの実践
第4分科会は「通いの場・居場所づくりの実践」。同分科会第4会場では、13演題が発表されました。
東京ほくと医療生協の佐藤節子さんは、2017年から始めた喫茶室「虹」のとりくみを報告。月2回開催し、手づくりの「丸パンサンドイッチ」が好評。同サンド2個とコーヒーまたは紅茶がついて300円で提供しています。参加者は「知らない人ともおしゃべりをして、楽しそうに笑っている」と佐藤さん。昨年度は年間22回、452人が利用しました。
福岡・親仁会の河本里美さん(事務)は、共同組織の担い手・後継者づくりを視野に入れて「まずは新しい顔なじみをつくろう」ととりくんだ「Café ARIAKE」を報告。昨年9~11月、米の山ふれあいセンター(ありあけ健康友の会事務局)で行い、演奏会・舞踊発表会や映画鑑賞会などを開催しました。100円カンパで飲み物を提供。月替わりで絵画や書画、雑貨など、会員が趣味でつくっている作品も募集・展示しました。今では「映画を見る会」が発足し、参加自由形の班も誕生しています。「『今日は何をやってる?』と診療待ちの患者や、学校帰り、長期休暇中の子どもたちがのぞきに来ている」と河本さん。
京都東健康友の会の近藤美也子さんは、友の会員が遺贈した戸建てで行っている「洛楽カフェ」のとりくみを発表。月、水、金の9時半~12時半に開催し、ボランティア15人で運営。2025年度はのべ1498人が訪れました。ストレッチ体操などの健康増進や『いつでも元気』読者会、持ち寄りランチ会など多彩なとりくみが。今では民医連以外の新たなつながりも生まれ、友の会員、来所者同士のつながりも深まっています。
東京・城南保健生協の伊藤豪さん(事務)は2016年から始めた「大森東しあわせ食堂」を報告。毎月第4金曜日の17時から実施。コロナ禍を経て、フードパントリー形式にかわり、毎回130~150人が利用。これとは別に昨年より「おにぎり食堂」も同時に開催。「炊き立てのごはんがおいしい」と喜ばれています。
愛知・名南会健康友の会の早川由美子さんと土肥カヅ子さんは、ほんわか食堂のとりくみを紹介しました。食堂3カ所、フードパントリー1カ所を運営。フードパントリーは月1回の開催ですが、民生委員やスクールソーシャルワーカー、社会福祉協議会などからも頼りにされ、急な問い合わせにも常備の食材を提供。また1カ所は食堂とともに学習支援も実施し、農家や地元業者、フードバンクなどから食材の寄付を受けています。バスツアーの他、地域の祭りにも参加。ネグレクト、親の性的虐待、ひとり親家庭、外国にルーツのある子どもなど、さまざまな困難とも向き合いながら支援しています。(多田重正記者)
第5分科会④
地域まるごと健康づくりのとりくみ
第5分科会第4会場では「地域まるごと健康づくりのとりくみ」をテーマに、11演題の報告が。
医療生協おおさか東エリアの徳畑勇さんは、仲間増やしのとりくみについて報告。健康チェックに力を入れ、地域で年5回開催。1回に約20人が参加し、そのうち4割は非組合員でした。2025年度の仲間増やしは目標の15人を超え16人の加入。健康チェックでの対話が、生協活動を理解してもらうことに役立ちました。
福岡・北九州健康友の会の中冨真由美さんは、健康チェックにレア種目(肌の水分量・油分量、足指力、柔軟性のチェックなど)を取り入れて行っていることを報告。足指の機能は転倒予防などに重要であることや、チェックだけでなく、足指じゃんけん、新聞紙ギャザーなど気軽にできる足指の運動もあわせて紹介しています。中冨さんは「レア種目は対話のきっかけにもなりやすく、今後も健康チェックを通じ一人でも多くの人とつながりたい」と話しました。
岡山・津山医療生協の住吉由里さんは「血糖や血圧などのように体力も数値で知ることができたら」と班会で始めた体力テストについて報告。項目は握力、片足立ちなど安全にできるもので、結果には年代平均との比較や、その人の強みも明記。また自分の運動量を計算シートで算出し、不足分を運動量の目標に。自分の弱み・強みを知り生活に生かすことで、「外傷を防いだり、無理だと思っていたことにチャレンジするきっかけになるのでは」と住吉さんは話します。
山梨の御坂・八代健康を守る会の青林久美子さんは、8年目となったサロン「結」でのフレイルチェックを報告。自分で兆候に気づき、生活習慣を見直すことがフレイルチェックの目的です。結果はチェックシートに貼ったシール(青シール=好ましい習慣や状態、赤シール=そうでない状態)で、一目でわかるようになっています。結果によって行政につなげたり診療所に情報提供したりします。運営は研修を受けたフレイルサポーターで、職員や元職員ボランティアも加わります。研修医や看護学生が参加することも。毎回参加者は20人前後で、おしゃべりもはずみ、にぎやかです。
京都東健康友の会・左京ブロックの宇野美和子さんは、友の会と職員がいっしょに考える地域の健康づくりについて報告。同会には健康づくり委員会があり、友の会員のほかに医師・放射線・検査・理学療法士など、さまざまな職種で構成しています。職員は専門職の視点から提案し、友の会員もニーズを出すなど、職員と友の会がいっしょに企画を考えています。職員にとってはHPH活動にもなっており、専門職としてのスキルアップや、直接地域住民とふれあうなど、民医連らしい体験ができる場にも。宇野さんは「これからも友の会と職員がいっしょになって、健康づくりを長く続けていきたい」と抱負を語りました。(奥山千佳記者)
(民医連新聞 第1862号 2026年10月19日号)
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