分科会(口演)から
第17回 看護介護活動研究交流集会 神奈川県横浜市
第17回看護介護活動研究交流集会では第1日目、2日目に分科会を行いました。22テーマに117演題の報告がありました。一部を紹介します。
■多職種連携
1日目午前の304会場では「多職種連携」の分科会を開催。「多職種連携」「入退院支援」などのテーマから計15演題を発表。栃木・生協ふたば診療所の箕輪佳美さん(看護師)は、愛着の不安定さを抱える患者に対して、訴えに対応するだけでなく必要な支援を予測する「先手のかかわり」を実践し、多職種で支援内容を共有したことで、信頼関係を築いた事例を発表。診療所が患者にとっての情緒的な「基地」となり、自立に向けた基盤をささえるつながりになったと報告しました。
東京・小豆沢病院の宍戸満紀さん(看護師)は、脳出血後、遷延性意識障害となった技能実習生の退院支援にかかわった事例を発表。支援団体や実習先の医療機関などと連携し、患者家族の希望に添って無事に帰国させられたと報告。人種や国籍等で対応を変えることなく、無差別・平等の看護や介護を実践できたとのべました。
■確保と育成 職員の健康を守る
1日目午前の311会議室では「確保と育成 職員の健康を守る」の分科会を開催し、15演題を発表。東京・みさと健和団地診療所の上田さとみさん(看護師)は「“まずは診る”の看護実践について」報告。車いすを持参し受診につなげた例、内科での外傷患者の受け入れ、インフルエンザワクチンの予防接種の予約制の廃止など地域から必要とされている実践を報告しました。秋田・中通総合病院の三浦瑞季さん(看護師)は「病棟再編による看護師のストレス調査から見えた課題」で、「人間関係へのストレス」の回答が多かったことから、互いを尊重したコミュニケーション力や、働きやすい職場環境整備の必要性を報告。東京・東葛看護専門学校の飯山時子さん(専任教員)は「患者さん・仲間・社会と出会い成長していく看護学生」を報告。学生が臨地実習で患者から学び、成長し、その姿に学校側も励まされ、人権擁護の立場にたつ、看護の実践を続けたいとのべました。岐阜・みどり病院の福島麻悠子さん(看護師)は「近隣看護大学との協働による教育的効果」について報告。院内看護師の学ぶ機会、地域での活動の参画などにもつながりました。
■安全・災害対策・経営改善
1日目午前の313会議室では「安全・災害対策・経営改善」の分科会を開催。14演題の報告がありました。
大阪・耳原総合病院の井上つむぎさん(看護師)は、ERにおける患者安全確保へのとりくみを報告。ER内での転倒による骨折事例を契機に、スタッフでふり返りを実施。患者安全のため「気づける環境」づくりが大切という意見から、ERのストレッチャーの配置やリーダー席の向きを変更。患者の顔が見えやすい環境をつくることで、観察のしやすさにつながり、患者の変化にも気づきやすくなったと話しました。
石川・輪島診療所の大畑海映さん(介護福祉士)は、震災後も在宅生活が送れるように支援したとりくみとして、能登半島地震の影響で自宅での生活が困難になったAさんとその家族の事例について紹介。入退院を繰り返していたAさんには、「家に帰りたい」という強い希望が。在宅での訪問入浴サービスを開始したAさんは、穏やかな様子で「最高のお風呂です」とよく話しており、週2回の訪問入浴がなによりも楽しみに。訪問入浴で見られる笑顔や穏やかな表情は、家族が介護を続けるささえにもなっていました。大畑さんは、「これからも利用者と家族の安心につながるかかわりを大切にしていきたい」と話しました。
■認知症ケア
2日目午前の311会場では「認知症ケア」の分科会を開催し、14演題を発表。岡山ひだまりの里病院の石田洸介さん(看護師)は、認知症(FTD)で意思疎通が困難な患者に対して脳CTから残存機能を推測し、骨伝導ヘッドフォンを用いて患者が発病前に好んでいた音楽を映像とともに提供するケアを行い、情動記憶へと働きかける試みを発表しました。意味のある発話や視線が合うことが増えた、長時間椅子に座れたなど、ケアによる良い影響が見られたと言います。
千葉・介護老人保健施設まくはりの郷の山本雅子さん(看護師)と、長野・松本協立病院の松下花歩さん(看護師)は、施設・病棟で認知症マフを使用した事例を発表。認知症マフやマフを介したかかわりが、有効的な非薬物的介入となる可能性に言及しました。
トリオセッションでは、両者が持参したマフを実際に参加者が触るなどの交流も行われました。
(民医連新聞 第1863号 2026年11月2日号)
