副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2013年9月16日

副作用モニター情報〈402〉 ワーファリンとフロリードゲル経口用併用でPT-INR上昇、皮下出血、歯肉出血

 副作用モニター情報No.287(2008年5月5日付)でも紹介しましたが、ワルファリン(商品名:ワーファリン)とミコナゾール(商品名:フロリードゲル経口用)の相互作用と思われる症例が報告されたので、再度注意喚起します。

症例) 80代前半、男性、糖尿病あり。
 発作性心房細動にてワルファリン3mg投与中。INR1.5~1.8でコントロール良好。舌腫瘍手術のため、手術2日前より、ワルファリン中止。手術後9日目退院。
 手術3週間後に口腔カンジダを発症し、ミコナゾール15g分3で5日間処方。3週間後、ワルファリン3mgにて服用再開の指示(INR測定なし)。ワル ファリン再開指示後2~3日目より下腿皮下出血、四肢を中心に皮下出血が広がっていたが、受診せず。9日目に口腔内出血にて近くの歯科を受診したが、出血 がとまらず、内科受診。INR7.0と上昇していたため入院し、メナテトレノン注射液(商品名:ケイツーN静注)10mg投与で、INR1.64と症状回 復。
 持参薬の確認やその後の聞き取りで、舌腫瘍手術施行退院後、ワルファリン再開指示がでるまでの間、自己判断で家に残っていたワルファリンを2mgずつ服 用していたことが判明。ワルファリン中止のまま翌日退院し、退院2週間後INR1.13。ダビガトラン(商品名:プラザキサ)に変更した。

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 ミコナゾールは、CYP3A、2C9を阻害し、これらの酵素で代謝される併用薬剤の血中濃度を上昇させてしまいます。同効薬のアゾール系抗真菌剤のイト ラコナゾール(商品名:イトリゾール)等もCYP3A4を阻害するため注意が必要です。メーカーに報告されている重篤症例では、ミコナゾール中止後1カ月 以内でのINR上昇などの副作用症例が最も多く、3~5カ月後での報告例もあり、遷延する場合もあるので注意が必要です。
 ワルファリン服用患者にミコナゾールを投与する時は、定期的な採血による安全性の確認はもちろん、出血の有無、ワルファリンの服用指示の遵守の徹底など相互作用のチェックを十分に行ってください。
 ミコナゾールの形状は軟膏薬に似ているため医療従事者でさえ外用薬と間違いやすく、内服薬との相互作用に気づきにくい場合もあります。電子カルテや電子薬歴等でのチェックが可能か再確認することも重要です。

(民医連新聞 第1556号 2013年9月16日)

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