いつでも元気

2011年6月1日

くすりの話 135 いま話題の漢方製剤 肥満に効くの!?「ナイシトール」

Q:「ナイシトール」って、何ですか?

genki236_05_01A:18種類の生薬を配合した「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」という漢方薬です。「ナイシトール」は、メタボ解消ブームの昨今「ぽっこりお腹に効 く」とテレビCMなどでさかんに宣伝されています。体力が充実していて、腹部に皮下脂肪が多い、いわゆる脂肪太りで、便秘がちな人に用いられます。高血圧 や肥満にともなう動どう悸き、肩こり、のぼせ、むくみ、便秘、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)に効果があります。また、同じような体質の人で副鼻腔炎 にも使うことがあります。
 「防風通聖散」は発汗、排便、利尿など老廃物の排せつを促し、体のバランスを正して病気を治します。高血圧や動悸、便秘など、一見関係ないような病名が並んでいても、それぞれが肥満症体質の方の病気の一部とみるのが漢方の考え方です。
 小林製薬の「ナイシトール」は、ユニークなネーミングと「内臓脂肪に効く」というCMで爆発的に売れたようです。クラシエも以前から、同じ「防風通聖 散」を「コッコアポA」という商品名で販売していますが、主に便秘解消をうたっているため、いまもあまり売れ行きは変わっていないようです。しかし、「ナ イシトール」でも他の「防風通聖散」製剤でも、効果は同じです。

Q:効き目はあるの? 薬の副作用は?

A:いわゆる健康食品よりは、一定の効果があります。便秘がちな人の肥満症にも効果があるということです。
 「痩せられるから」と安易に手を出してしまう人も多いのですが、副作用もあります。軽いものでは、皮膚の発疹・発赤、かゆみ、胃の不快感、激しい痛みを ともなう下痢、腹痛があります。重いものでは、間質性肺炎、偽アルドステロン症、肝機能障害などがありますので、要注意です。
 下剤の成分を含んでいるので、他の下剤と一緒には服用しないでください。また、1カ月ほど服用しても症状がよくならない場合は服用を中止しましょう。漢 方薬では色白で筋肉が柔らかく、いわゆる水太り体質の人には「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」が向いており、クラシエでは「コッコアポL」という商品名 で販売されています。
 このように副作用も多いため、できれば薬を使わずに体質を改善したいものです。内臓脂肪を減らしたいなら、やはり必要以上に食べないことです。脈拍が1 分あたり100~120回程度になるような、軽い負荷のかかる運動を15~20分おこなうのも効果的です。そして「ダンベル体操」「スロートレーニング」 などを継続的におこない、体の筋肉を落とさないことです。筋肉が落ちると、脂肪が燃えにくい体質になってしまいます。
 健康を考え、環境にもやさしい自転車通勤などをはじめてはいかがでしょうか? ガソリン代も節約できますよ。1カ月に5000円もかかる薬を購入するよりは、生活そのものを見直すのも選択肢のひとつです。

いつでも元気 2011.6 No.236

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