いつでも元気

2013年10月1日

くすりの話 160 抗がん剤

Q:抗がん剤はどのように効くの?

A:人の体は細胞が集まってできています。心臓や肺など臓器も細胞 の分裂、成長、消滅を繰り返すことで保たれています。正常な細胞は分裂しすぎないようにコントロールされていますが、何らかの原因によって頻繁に分裂を繰 り返すようになり、しだいにがん細胞となることがあります。
 抗がん剤はこのがん細胞の分裂を妨げ、がんの進行を抑えたり破壊したりする薬です。投与の方法には点滴や注射、飲み薬があります。抗がん剤は分裂を妨げ るだけなので、がんの消失や縮小がみられても、再びがんが大きくなったり再発したりすることがあります。
 また、CTなどの画像検査で確認できない小さながんが残ることもあるため、「効く=治る」とは単純に言えません。

Q:強い副作用があると聞きますが

genki264_04_01A:正常な細胞とがん細胞の違いはほんのわずかです。そのため、抗がん剤が正常な細胞にも作用してしまい、副作用が出ることがあります。
 また、正常な細胞の中にも骨髄の造血細胞や毛根細胞、口腔粘膜や消化管粘膜など、頻繁に分裂を繰り返すものがあり、これらの細胞は抗がん剤の作用を受け やすいという特徴があります。造血細胞が抗がん剤で傷つき分裂や増殖が妨げられると、赤血球や白血球、血小板などがつくられなくなり、貧血や感染症、出血 などを引き起こしやすくなります。
 さらに毛根細胞が傷つけば脱毛、口腔粘膜の細胞であれば口内炎、消化管粘膜の細胞なら吐き気や下痢といった症状が現れます。
 抗がん剤治療は個人差がありますが、多くの場合、副作用は避けられないと考えられています。しかし副作用の多くは、治療が終われば回復します。

Q:費用が高いと聞いたけど

A:厚生労働省が承認している抗がん剤を使用する場合は公的医療保 険の対象となりますが、確かに抗がん剤の医療費は高く、3割の患者負担分で1カ月に10万円を超えることがあります。ただ、1カ月間で医療機関に支払う医 療費が一定額を超えると、「高額療養費制度」の適用になります。一般所得者の場合、支払い限度額(80,100円+(総医療費?267,000 円)×1%)を超えた金額は後日払い戻されます。
 抗がん剤の使用だけでなく、入院などで医療費が高くなりそうな場合は事前に手続きをしておくと、限度額だけを支払えばすみます。申請手続きの方法はお勤めの会社、または加入されている医療保険組合にお問い合わせください。
 厚労省が未承認の抗がん剤を個人輸入などで使用する場合は、検査費用や入院費用などの医療費も自由診療扱いとなり、全額患者負担となるのであらかじめ医療機関に確認してください。

いつでも元気 2013.10 No.264

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