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2017年5月2日

特集「私と憲法」

文・写真 新井健治(編集部)

 今年の5月3日で憲法施行70年。自民党や日本会議などが改憲の動きを強めるなか、全日本民医連は昨年10月から「第2期憲法学習大運動」を進め、「今、なぜ憲法が大切なのか」を学んでいます。
 特集では各地の「憲法カフェ」や、読者から募集した「私の好きな条文」と憲法を守る取り組みを紹介。また、テレビでも活躍する新進気鋭の憲法学者、木村草太さんに憲法を学ぶ心構えについて聞きました。

改憲草案を深読みしたら 仙台南健康友の会

自民党改憲草案を解説する平尾さん

自民党改憲草案を解説する平尾さん

 宮城県仙台市太白区の仙台南健康友の会は毎月1回、喫茶店でコーヒーとケーキを楽しみながら憲法カフェを開いています。
 2月のカフェをのぞいてみました。

 憲法カフェの講師は長町病院職員で友の会事務局次長の平尾伸二さん。第13回のテーマは「自民党改憲草案を深読みする」。自民党の改憲草案(2012年発表)は、現憲法の「個人」を「人」に置き換えています。
 平尾さんは「『個人』は一人一人が個性を持った存在、『人』は生物学上のひとまとめにした概念」と意味の違いを説明しながら、「憲法の一番大きな意義は、一人一人の違いを認め尊重すること」と強調しました。
 カフェが始まったのは安保法制成立直後の昨年1月。「電力自由化」「TPP」「男女平等」「えん罪」など、社会の課題を憲法に絡めながら考えてきました。友の会員のほか地域住民ら毎回10人前後が参加します。

公共の福祉と公益の違い

 改憲草案はまた、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に置き換えています。公共の福祉とは人権相互の衝突を調整する概念ですが、公益及び公の秩序は人権にかかわりなく適用でき、「公益に反する」としてデモなども規制できます。
 平尾さんは「カフェに備えて学習し、改めて憲法は奥が深いと実感。どんな人でも、安心して暮らしていけると憲法は発信している」と言います。
 友の会員の石川智子さんは「『公共の福祉』と『公益』の違いなど、毎回勉強になる。私たちの無知を政府に利用される恐ろしさを感じています」と言います。
 仙台南健康友の会は2013年から毎月1回、地域住民とともに「原発も戦争もノー! たいはくアクション」を続けてきました。友の会と長町病院、つばさ薬局が協力して復興公営住宅で震災被災者向けの健康カフェも継続しています。
 平尾さんは「憲法を学ぶと、平和や人権を保持するためには私たちの不断の努力が必要だということが分かる。学びと活動の相互作用が大切です」と話しました。

いつでも元気 2017.5 No.307

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