MIN-IRENトピックス

2018年1月31日

認知症Q&A 
小規模多機能の利用

監修 大場敏明医師

小規模多機能型居宅介護「えがお」(埼玉県三郷市)の寺田慎さん(ケアマネジャー)に、施設の特徴や利用方法について説明してもらいました。

 小規模多機能型居宅介護(小規模多機能)とは、介護が必要となった高齢者が、住み慣れた家や地域で生活を続けられるように支援する施設です。
 利用する方の状態や必要に応じて、「通い」(デイサービス)を中心に「泊まり」(ショートステイ)「訪問」の3つのサービスを組み合わせて、一つの事業所で在宅介護サービスを提供します。認知症状がなくても利用できますが、利用者の多くは認知症の方です。
 認知症の方の中には、訪問介護やデイサービス(デイ)を利用しながら、時々ショートステイ(ショート)を使う方も少なくありません。デイとショートで事業所が違うとスタッフも変わり、行く場所や雰囲気なども変化してしまうため、利用する本人が混乱することも少なくありません。認知症の方は変化に適応することが苦手だからです。
 小規模多機能は訪問とデイ、ショートが同じ施設の職員のため、スタッフと顔なじみの関係になり安心して利用できます。
 家族にもメリットがあります。複数の施設を利用していると、連絡や契約などが煩雑ですが、小規模多機能は一カ所で全ての相談や手続きが済むので負担が軽減します。

親しい人と泊まりも可能

 小規模多機能はデイの一日の利用者数が15人(登録人数により最大18人まで)と少数で、各人に合わせた支援ができます。ふだん訪問に来ているスタッフがデイでも支援をしてくれるため、デイに抵抗を感じる人でもスタッフとの信頼関係を作りながら、徐々に慣れていただくことが可能です。
 ショートもふだんデイを利用している人同士が一緒に宿泊できるので、親しい人と泊まることで本人にとっての楽しみになることもあります。気の合う利用者同士が仲間になって、今までの趣味や生きがいを持ち続けて在宅生活を送るケースもあります。小規模多機能は地域包括支援センターと連携しており、地元のお祭りに参加するなど地域住民とのふれあいもあります。

情報共有のメリット

 在宅生活を継続するには、施設と家族との生活情報や支援内容の共有が大切です。小規模多機能は、ケアマネジャーも同じ施設の職員です。本人についてはもちろん、自宅の生活環境(住宅改修など)の相談も実際に利用する本人の動作を見ながら相談できるので、より効果的な提案ができます。
 宿泊もできるので、本人の24時間の生活の様子を見た上で、かかりつけの医療機関と連携して認知症状へ対応します。本人に処方された薬の効果と副作用なども、介護スタッフの専門的な視点で観察して医療機関へ情報を提供できるので、本人にとってより良い治療へと結びつけることも可能です。
 また、その情報を元に自宅での介護のアドバイスや認知症への関わり方を伝えることもできます。このように、小規模多機能はより長い在宅生活を続けることに役に立つ施設と言えます。

いつでも元気 2018.2 No.316

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