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2019年6月7日

お金をかけない健康法

 おととし105歳で逝去された聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生。生涯現役医師として、多数の著作や無数の講演で長寿と健康、いのちの尊さ、そして憲法9条の重要性を訴えられました。いのちや平和の大切さを伝えるミュージカルの企画や脚本、全国の小中学校での「いのちの授業」なども続けられました(『日野原重明の世界』中央法規)。
 名医で、国を医す上医でもあった日野原先生の“長寿の秘訣”を紹介します。
 著書『101歳の金言』(ダイヤモンド社)では5つの習慣(食事・呼吸・動く・休む・仕事)が重要と指摘し、具体的に次の4つを強調しています。
 (1)呼吸法=最初に呼気を吐ききること、また丹田(へその下)を意識した腹式呼吸法を毎日10回続けること、(2)うつぶせ寝=初耳! 寝付きがよく7時間熟睡でき、早寝・早起きで「疲れ知らず」と(素晴らしい)、(3)質素な食事=“長寿野菜”のブロッコリーなど野菜類とタンパク質をしっかりとる夕食で、朝・昼は少々。65歳から実行した減食で肥満予防、(4)歯は健康のもと=3食後の歯磨きと2~3カ月ごとの歯科受診。ご自身の歯が92歳で20本! そして101歳で18本とは(すごーい)!
 食生活の秘密については『病気にならない15の食習慣』(青春出版社)で詳述。食習慣について質問を受けた際、それに対する自分の回答が「皆をがっかりさせる」と楽しそうに書いています。
 「朝食しっかり、寝る前食べず、3食規則的に」が健康的と私も思い込んでいましたが、日野原流は逆に「朝食かるく(野菜ジュースとオリーブ油など)」「夕食しっかり」「3食不規則もあり」とは(びっくり)。もちろん、これは中高年対象の日野原流健康食で、重要なのは1日全体でバランスをとることです。
 結局、日野原流“健康長寿”の根幹は、少しの食事と少しの運動(生活の中で階段の上り下りやウオーキング、軽い体操などの運動で十分)で、すべてお金がかかりません。まさに、最期まで「お金をかけない健康法」の実践者だったのです。


大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)

いつでも元気 2019.6 No.332

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