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2019年9月5日

お金をかけない健康法

 適度な運動として最も取り組みやすいのが、ウオーキングや散歩です。
 思い出してください、5月号で取り上げた蟹江ぎんさんの信念を。「人間は足から死ぬ」と、一日30分以上の散歩をずっと続けたのです。二足歩行から人間に進化した人類の歴史にも通じる思想を感じますね。
 外来で「慢性病の治療、肥満解消には歩くことが重要」とお勧めすると、ご高齢の方や苦手意識のある方は腰が引けます。そこで「散歩でよいのです。公園や街の通りなど、木々や草花にふれることも大事です」と説明します。また「買い物や集まりへの参加、通勤で駅まで歩くとか、いろいろな機会を見つけてください」とお話しします。
 運動を目的としたウオーキングであれ、気ままな散歩であれ、足を運んで体を動かすことが大切です。消費カロリーは、20分のウオーキングで136キロカロリー、散歩でも120キロカロリーとのデータがあります。120キロカロリーとは、ご飯茶碗3分の2杯、バナナ1本半です。
 ウオーキングや散歩の効果は、たくさんあります。高血圧の改善、心肺機能の強化、骨の強化、肥満解消、糖尿病の改善、腰痛の改善、リラックス効果などです。
 高血圧の改善について、私自身の体験です。今年2月の1カ月間、ウオーキングの前と後での降圧効果を見ました。上の血圧が平均で17・2mmHgも下がり、下の血圧は平均で4・0mmHg下がったのです(すごい!)。約25分歩き、途中10分くらいは軽くジョギングした程度なのに!
 次に歩き方の注意です。いつでも、どこでも、どんな格好でも、自由な歩行で、朝・昼・夜いつでも効果は変わりません。一日合計で30分から1時間、歩数では5千歩から1万歩、毎日歩きたいですね。ただ、夏は熱中症の危険があるため、暑い日中は避けましょう。
 運動効果が上がるウオーキングの姿勢をご紹介します(下図)。あくまで運動としてのフォームですので、体調や年齢を考えて、無理はなさらないでくださいね(念のため)。


大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)

いつでも元気 2019.9 No.335

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