MIN-IRENトピックス

2020年1月10日

お金をかけない健康法

 いち年の計は元旦にあります。健康長寿を願って、その中心である食事についてお話しします。
 まず、連載の3回目(6月号)でご紹介した日野原重明先生に再登場願います。105歳まで現役医師を続け、「お金をかけない健康法」を実践されました。その健康長寿の中心は、少しの食事と少しの運動による肥満予防です。
 先生の著書『病気にならない15の食習慣』(青春出版社)の副題には「楽しく生きる長寿の秘訣」「食べかた上手は生きかた上手」とあります。15の食習慣は、食事回数や植物油の重要性などなどですが、従来の常識からは外れた「エッ?」と驚かされる内容もあります。15の食習慣の中で、私が最も重要と考えるのが(3)の“かむ”習慣です。
かむ健康効果 「よくかむ=30回かむこと」が健康長寿にきわめて有効です。腹八分目で満足することによる減量効果、胃腸の働き改善のほか、全身効果や認知症予防効果もあります。結果として食費の節約につながり、胃腸薬なども減らせて家計を助ける効果も期待できます。
 日本咀嚼学会という研究団体は「咀嚼=かむこと」の大切さを考え、知らせようと発足。かむ健康効果のアピールとして「卑弥呼の歯がいーぜ」を標語にしています。
 =肥満防止、=味覚の発達、=言葉の発達、=脳の発達、=歯の病気予防、=がんの予防、=胃腸の働き促進、=全身の体力向上と、実に8つもの健康効果を指摘しています。(すごい!)
よくかむための方法 ある管理栄養士さんの提案は、(1)箸を使う(2)丼・麺などの単品ものよりも定食スタイル(3)いろいろな食材を(4)食材は大きく切り加工は少なく、などです。
 私は、外来患者さんに「3側・3分割・30回かむ」をおすすめしています。ひとくち分を頬張り、左側で10回、真ん中で10回、右側で10回と、まんべんなく歯を使ってかむのです。30回を数えるのは意外と長いため、3回に分けます。かみ方の癖が一方向に偏りがちなので、是正もかねて3側利用というわけです。お試しください。

(注)病気にならない15の食習慣 
(1)“1日3食の間違い
(2) 寝る前に食べても大丈夫
(3)脳を鍛える“かむ習慣
(4)“楽しい食事が健康をつくる
(5)“油抜きではやせられない
(6) 間食には果物を食べましょう
(7) 植物油が美肌のもと
(8) 食事を残せば病気にならない
(9) コレステロール値は少し高めなほうがいい
(10) 外食がちな人は野菜ジュースを
(11) レシチンと葉酸の多い野菜をたっぷりと
(12) 肉を食べれば体がサビない
(13) 和食の落とし穴“塩分に注意
(14) ウエストを測るだけで肥満は防げる
(15) 効率よくカロリーを消費する


大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)

いつでも元気 2020.1 No.339

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