いつでも元気

2022年5月31日

コロナ禍の仲間たち

文・新井健治(編集部) 写真・山梨民医連提供

共立歯科センター(甲府市)前で友の会を案内

共立歯科センター(甲府市)前で友の会を案内

 第15回全日本民医連共同組織活動交流集会が9月11~12日、山梨県甲府市を主会場にオンラインで行われます。
 コロナ禍の共同組織(友の会や医療生協)の活動を報告し安心して住み続けられるまちづくりのヒントを交流します。

 全日本民医連の共同組織活動交流集会は2年に1度開催。前回(2018年)は神奈川県横浜市で行われ2400人が参加しました。山梨では20年の開催予定でしたがコロナ禍で延期、今回もオンラインで開きます。
 山梨健康友の会の望月優会長は「サークルや行事が次々と中止になり、会員の要求に応えられない辛い2年間だった。それでも工夫をしてさまざまな活動を展開してきました」と語ります。
 山梨民医連は20年7月から「いのちの相談所」活動を開始。地元のラジオで相談を呼びかけるCMを流し、ラジオ番組に医師や看護師、友の会役員らが出演しました。友の会と共同で県内各地で食料支援を実施。感染症学習会やフレイル教室などコロナに負けない健康づくりに取り組み、コロナ禍で困窮する住民の切実な要求や、医療機関の財政支援の課題で自治体交渉も行いました()。

“倒産と再建”教訓に

 山梨民医連といえば、共同組織の原点となった“倒産と再建”を抜きに語れません。山梨勤労者医療協会は1983年、負債総額230億円を抱えて倒産、うち117億円が約8000人の互助会員(のちの友の会)からの協力債でした。
 職員、患者会、友の会の奮闘や全日本民医連の支援で97年に債務を完済。再建を果たす過程で、民医連の経営方針や共同組織の理念が改めて確認され、全国的な教訓になりました。
 望月会長は再建途上の93年に開設した竜王共立診療所(甲斐市)の母体「竜王町に共立診療所をつくる会」の会長を務めました。「『借金も返していないのに大丈夫か』との声もあったが、住民の力で成功したことで再建への大きな力になった。倒産から40年近く経ち、忘れかけられている面もある。今回の集会を通して全国の職員と共同組織の仲間たちに、改めて教訓を知ってもらいたい」と話します。

発展のステップに

 集会は9月11日に京都大学大学院教授の近藤尚己さんが「貧困・格差による健康問題と共同組織の役割」と題して記念講演。現地企画として「山梨勤医協倒産のたたかいと教訓(仮題)」があります。12日は「地域に広がる憲法9条・平和を守る取り組み」「通いの場・居場所づくりの実践」など7テーマで20の分科会が行われます。
 「集会は共同組織を発展させるステップ」と語るのは山梨健康友の会事務局長の長田正弘さん。2014年の集会(兵庫県神戸市)で居場所づくりについて学び、「山梨にもつくりたい」と甲府市で「くつろぎ処 よってけしともだち」を立ち上げました。
 長田さんは「顔を合わせて交流できないのは残念だが、オンラインなのでどこからでも参加しやすい。コロナ禍で工夫した取り組みを全国から持ち寄り、現場に帰ってから役立つ集会にしたい」と語ります。


山梨のコロナ禍の活動

■ いのちの相談所活動
街角にポスター貼り出し、スーパーなどでの何でも相談会、地域訪問、フリーダイヤルによる電話相談、ラジオCM、ラジオ番組に出演など

■ 食料支援
冬の市・春の市(甲府健康友の会、甲府共立病院)食のエール(峡東健康友の会、石和共立病院)フードパントリー甲斐市(竜王健康友の会、竜王共立診療所が支援)まちなかマルシェ(やまなし勤労者福祉会の4拠点)ほっとまんぷくプロジェクト(山梨高等教育無償化を進める会=民医連や友の会が参加した学生食料支援)

■ コロナに負けない健康づくり
フレイル教室(御坂八代健康を守る会)100歳体操(富士川健康友の会)体操教室スタンプラリー(甲府健康友の会)新型コロナ感染症学習会(竜王健康友の会)オレンジカフェ(甲府共立病院、やまなし勤労者福祉会)

■ 職員を励ます活動
折り鶴プロジェクト(甲府健康友の会)感謝のメッセージカード(峡東健康友の会)

■ 自治体交渉
住民アンケートと甲府市との交渉(甲府健康友の会)医療経営への財政支援の請願(甲府健康友の会)北杜市との交渉(北巨摩健康友の会)南アルプス市に請願書を提出(峡西健康友の会)笛吹市に嘆願書を提出(峡東健康友の会、御坂八代健康を守る会)

■ 生活支援
NPO法人「ゆいまる」による生活支援と福祉有償運送事業、いけちゃん家こどもプロジェクト(やまなし勤労者福祉会)

いつでも元気 2022.6 No.367

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