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いつでも元気

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くすりの話 ビタミンAの取りすぎに注意

執筆/藤竿 伊知郎(元・外苑企画商事、薬剤師)
監修/野口 陽一(全日本民医連薬剤委員会、薬剤師)

読者のみなさんから寄せられた質問に
薬剤師がお答えします。
今回は、ビタミンAの特性と注意点をまとめました。

 ビタミンAは、肌や粘膜の健康を保つ大切な栄養素。化粧品にも美容成分として配合され、よく聞く名前です。私たちは緑黄色野菜から多く摂取しています。ニンジンの赤い色素「βカロテン」は、体内でビタミンAに変わります。
 注意したいのは、体に溜まりやすく、レバーなどから大量に摂取しやすいことです。
 ビタミンAは油に溶ける性質があり、9割が肝臓に蓄積されます。体内から半分が排出されるまで、乳牛のデータですが40日かかります。

◆強い作用と毒性を持つ物質

 ビタミンAは体内で「レチナール」という物質になり、目の網膜で光を感じる働きをします。さらに「レチノイン酸」に変化すると、細胞の成長をコントロールする重要な役割を果たします。レチノイン酸には、がん化し始めた細胞を正常に戻す作用があると考えられています。
 1980年代、ビタミンAは抗酸化作用によるがん予防効果が期待されていました。ところが、βカロテンやビタミンAをサプリメントで8年間投与する大規模実験で、喫煙者では逆に肺がんの発症率が上昇しました。
 現在、機能性表示食品にβカロテンを含む製品はありますが、ビタミンAを含む製品はありません。

◆妊娠を望む女性は注意しよう

 妊娠前3カ月から妊娠初期3カ月の間は、ビタミンAを1日3000μg以上摂取すると、奇形児が生まれる確率が5倍になるとして、摂取量に制限があります。
 皮膚疾患の治療薬「エトレチナート」はビタミンA誘導体で、催奇形性が強いため、投与中止後も女性は2年間、男性は6カ月間の避妊が必要です。
 妊婦向けの食事指導では、鉄分を意識したレシピがよく紹介されます。たとえば、鉄分を補給しようと鶏レバー50gを使ったキーマカレーを食べると、1日耐容上限量(2700μg)の2.6倍になります。一方、この料理から摂れる鉄分は4.5mgで、妊娠初期に必要な1日量の半分です。鉄分を意識しすぎると、ビタミンA過剰になってしまいます。
 妊娠を希望する女性は、レバー、ウナギ、銀ダラなどビタミンAが多い食品をさけましょう。
 ビタミンAを安全に摂取するなら、ニンジン、ホウレンソウ、カボチャなどの緑黄色野菜やトマトを食べることをおすすめします。他のビタミンやミネラルも豊富に摂れて一石二鳥です。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2026.2 No.411