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いつでも元気

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くすりの話 アルツハイマー型認知症の治療薬

執筆/沢登 保子(長野県医療事業協同組合、薬剤師)
監修/野口 陽一(全日本民医連薬剤委員会、薬剤師)

読者のみなさんから寄せられた質問に薬剤師がお答えします。
今回は、アルツハイマー型認知症の治療薬について解説します。

 認知機能は年齢とともに低下するといわれます。65歳以上の8人に1人が認知症、7人に1人が認知症の前段階の軽度認知障害(MCI)の時代になりました。MCIのうちに発見できれば、現状が保たれたり回復したりすることもあります。家族や地域の関わりが重要です。

病状の進行を緩やかにする薬

 認知症の治療はいま大きな変化の中にあります。これまではドネペジル、メマンチンといった症状をやわらげる薬が中心で、病気の進行そのものを止めることはできませんでした。
 そこで登場したのが、レカネマブとドナネマブです。「アルツハイマー病の原因に働きかける世界で初めての治療薬」として大きな期待が寄せられています。この2つの薬は、認知症の原因とされるアミロイドβと呼ばれるタンパク質を脳から取り除き、病状の進行を緩やかにすることを目指した薬です。発売前の試験でも、脳の中にたまっていたアミロイドβが顕著に減少し、記憶、判断力、自立して生活する能力などにおいて有効性が認められました。
 レカネマブは2週間に1回、ドナネマブは4週間に1回点滴をします。1時間程度の点滴治療なので、基本的に外来で行います。
 治療の開始にあたっては、多くの検査を受ける必要があります。検査結果によっては投与ができない場合があります。また、治療中も有効性や副作用の有無を判断するために、定期的に認知機能検査と頭部MRI検査が必要です。
 副作用として、脳のむくみや脳の微小出血などが起こることがあります。これらの副作用はほとんどの場合、症状がなく、まれに頭痛、めまい、吐き気などが現れます。副作用の早期発見のためにも、定期的な検査が必要です。

薬だけではないアプローチも

 レカネマブとドナネマブは高額な薬です。体重50㎏で3割負担の場合、レカネマブは月約9万9,000円、ドナネマブは月約9万円(2025年時点)。高額療養費の対象になるため、年齢や所得区分により負担額は下がります。負担は軽減されたとしても、経済的には大きな負担です。
 いつまで治療を続けるかも考える必要があります。治療を選択する際に重要なのは、認知症を治すことが目的なのか、自立した生活をより長く続けることを重視するかです。患者さんの状態や生活状況を踏まえて、医療スタッフと患者さんや家族で一緒に考えていきます。
 認知機能の低下が進行すると、本人が治療の選択を判断することが難しくなります。家族との事前の話し合いをお勧めします。
 民医連の現場では、「どの薬を使うか」だけでなく、「その人らしく暮らし続けられるか」という視点を重視します。認知症のケアも含めて、患者さんの意思を尊重できるように患者さんと家族を支えていきたいと思っています。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2026.6 No.415