Dr.小池の世直し奮戦記

2013年5月1日

Dr.小池の世直し奮戦記 TPPで日本の医療はいったいどうなるの?

 安倍晋三首相が、TPP(環太平洋連携協定)交渉参加を正式表明しました。首相は「守るべきものは守り、国益にかなう最善の道を追求する」と言いますが、そんなことができるのでしょうか。
 TPPの大原則は、「聖域なき関税撤廃」です。関税が撤廃されれば、日本の農業は壊滅します。政府の試算でも、農林水産業の七兆円を超える生産額のうち 約三兆円が失われます。しかも試算には、食品加工など関連産業への影響は含まれていません。
 関税以外のルールを取り払う、いわゆる「非関税障壁の撤廃」も大問題です。知的財産権、雇用規制、金融など、国民生活のあらゆる分野に及びます。なかでも命に直接かかわるのが、医療の「障壁撤廃」です。

営利企業の病院経営に道を開く

 これまでもアメリカは日本に対し、営利企業による病院経営の規制撤廃を求めてきました。営利企業が病院経営に入ってくれば、株主への配当が優先されますから、採算のあわない診療科や地域からの医療機関撤退につながりかねません。
 公的保険による診療だけでは利益は大きくなりませんから、差額料金を自由にとれる「混合診療の全面解禁」への圧力も大いに高まるでしょう。患者が収入などで差別されることも心配されます。
 すでにTPPに参加している国の中には、日本のように“国民皆保険制度のもとで、営利企業の病院経営を禁じている”国はありません。政府は「今までの TPP交渉では国民皆保険は議論になっていない」と言いますが、対象になる国がなかったのですから当然です。日本が交渉に参加すれば、規制撤廃の本格的な 議論にさらされます。

真っ先に医薬品費高騰のおそれが

 医療分野で真っ先に影響が出てくるのが、医薬品の価格です。TPP交渉の医療に関する最初の議題が「薬価算定のルール」や「ジェネリック医薬品」のような、医薬品や医療機器の価格を低く抑えるしくみの撤廃になると言われています。
 アメリカの製薬企業のもうけのために高い薬価が日本に押しつけられれば、医薬品の価格は大幅に値上がりします。すると政府は、医療費総額を抑制するため に診療報酬(公的保険上の医療行為・医薬品などの価格)全体を引き下げるでしょう。その結果、人件費が抑えられて医療現場の労働条件がさらに悪化し、医療 の質の低下を招くことにもなります。
 また、公的保険で受けられる医療の範囲が縮小される危険もあります。国民が医療を受ける権利が、大きく脅かされるのです。

“壊国”許さない共同を

 TPPは「交渉」とは名ばかりで、新規参入国がそれまでに決まったルールを“丸のみ”させられ るしくみになっています。安倍首相も「すでに合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは厳然たる事実」と述べま した。これでは、「日本の国益を守る」ことなどできません。
 「TPPでアジアの成長を取り込む」とも言いますが、中国・韓国はもちろん、インドネシアもタイもフィリピンも背を向けています。アメリカ流のルールを 日本に押しつけて、がんじがらめにして、日本の「国のかたち」を変えてしまうのがTPPです。開国ならぬ“壊国”の道を許さない共同を広げましょう。

いつでも元気 2013.5 No.259

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ