青の森 緑の海
最初に野鳥を意識したきっかけは、中学の時のカワセミとの出会いだ。当時、住んでいた横浜市の片隅にある森の池で、あの青い鳥を初めて見た。望遠レンズもなく、写真は豆粒ほどにしか写らなかったが、きれいとは言いがたい池の中に、キラリと光る青い点は強烈な印象を残した。
鳥を好きになった人が、次の段階で必ずと言っていいほど憧れるのが「セイタカシギ」だ。絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。
足が非常に長く、田んぼや湿地で泥に潜り込むことなく歩き回ることができる。どの鳥よりも身軽にふわりと舞い上がる姿は、僕ら地表に生きる者にとってまさに憧れの存在だ。
鹿児島県の離島、徳之島の河原で出会ったこのセイタカシギ。はじめは普通に餌をとっているように見えたが、よく見ると足の片方が腐っており、ピョンピョンと片足でジャンプしながら移動していた。
秋の渡りのシーズンもそろそろ終わり、旅立ちの時期が迫る。いつからこうなったのか、なぜこうなったのかは分からないが、飛ぶことに関してはなんの支障もないと、その表情は淡々としているようにも見えた。
【今泉真也/写真家】
1970年神奈川生まれ。中学生の時、顔見知りのホームレス男性が同世代の少年に殺害されたことから 「子どもにとっての自然の必要性」について考えるようになる。沖縄国際大学で沖縄戦聞き取り調査などを専攻後、一貫して沖縄と琉球弧から人と自然の
いのちについて撮影を続ける。写真集に『神人の祝う森』『SEDI/ セヂ』など。写真集の購入はホームページまで。
http://www.shinyaimaizumi.com/
いつでも元気 2024.12 No.397