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いつでも元気

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ケアマネの八面六臂な日々

“板挟み”

 介護保険制度は、利用者がサービスを選択して決定することが大前提。ケアマネジャーが、あの手この手でお勧めしても、なかなかサービスを利用されない方も多くいます。
 「このままだと、いずれ生活に支障をきたす可能性もあります」と提案し、生活の質を維持するためにサービスの利用を勧めても、実はあまり効果がないようです。
 いま現在、困っているわけでなく、サービスの利用にはお金がかかることもハードルになっています。たとえ家族が利用を希望しても、本人の同意がなければ無理やりサービスを導入することはできません。
 こういう時に、家族から「担当のケアマネの働きかけが弱いから、サービスを使わないのでは」と“怠慢”を指摘されることもあります。本人と家族との板挟みで、辛い思いをしているケアマネは全国にたくさんいるのではないでしょうか。
 60代後半のAさん(男性)はひとり暮らしです。高次脳機能障害の影響から書類の処理が苦手で、分からないことがあるとイライラして怒り出します。
 毎月の定期訪問時に、届いた書類を確認して一緒に処理しますが、「なんでこんなに文字が小さいんだ!」と怒鳴るAさん。〈私だって、老眼が始まっているんだから…〉と心でつぶやきつつ、「本当に小さくて読めないですねえ」と感情を受け止めます。
 ある日Aさんが、診察日から1週間以上過ぎた処方箋を薬局に提出したことがありました(処方箋の有効期限は4日間)。Aさんが通う診療所の看護師から「こうしたことが起きないように、ヘルパーを使えないんですか」と私に電話がかかってきました。
 Aさんは何度も間違えているわけでもなく、そもそも本人はヘルパーの利用を希望していません。看護師はAさんに不利益がないように、提案してくれたのでしょう。
 ただ、こうしたケースで、医療職から「ケアマネは医療のことが分からない」と批判的に言われたことがありました。私からすれば「介護のことが分からない医療職もいるんだよなあ」と、少し言いたくもなります。医療職と利用者との〝板挟み〟も悩みのひとつです。


石田美恵 
全日本民医連「ケアマネジメント委員会」委員長

いつでも元気 2024.12 No.397