くすりの話 向精神薬の副作用
執筆/衣笠 真澄(岡山・林道倫精神科神経科病院、薬剤師)
監修/野口 陽一(全日本民医連薬剤委員会、薬剤師)
薬は病気の治療に欠かせませんが、どんな薬でも副作用が起こる可能性があります。副作用とは、薬が目的とした効果以外に現れる作用のことです。
副作用には、薬そのものによる副作用と体質による副作用があります。薬そのものによる副作用で多い症状は下痢や便秘、胃不快感、眠気などです。それに対し、かゆみ・発疹などのアレルギー反応や、呼吸困難・血圧低下などのショック反応(アナフィラキシーショック)は体質によるものです。また、指示された用法・用量を守らなかったり、飲み合わせの悪い薬を一緒に飲むなど、薬の誤った使い方によって起こる副作用もあります。
向精神薬の特徴
向精神薬とは、脳や脊髄など中枢神経系に作用する薬の総称です。睡眠薬、抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定化薬、抗不安薬、抗てんかん薬などが含まれます。精神科で処方される機会が多いですが、一般内科などでもしばしば処方されます。
アレルギー反応、下痢や便秘、胃不快感、眠気などの副作用は他の薬と共通しています。中でも眠気は向精神薬によく見られる副作用ですが、逆に不眠になる場合もあります。以下に特徴的な副作用をまとめました。
【睡眠薬】眠気の持ち越し、健忘、ふらつき
【抗精神病薬】食欲増加、体重増加、脂質異常、過鎮静
【抗うつ薬】吐き気、性機能障害、食欲増加、体重増加、便秘、口の渇き
【気分安定化薬や抗てんかん薬】多飲多尿、高アンモニア血症、甲状腺機能低下症
副作用は薬を使用した全員に同じように現れるわけではありません。また、同じ系統の薬でも、副作用にそれぞれの特徴があります。服用している薬の副作用の特徴を知っておくと、早期発見・早期対応に繋ぐことができます。
自己判断は禁物
副作用かなと思ったら、自己判断せず、医師や薬剤師にご相談ください。副作用が起こった時の対応としては、直ちに服薬を中止しなければいけない場合、経過観察で良い場合、副作用を止める薬を追加処方する場合などが考えられます。
気になる症状が出たら、服用中の薬の名前、服用開始日、症状や程度、症状が始まった時期などをメモしておくと良いでしょう。副作用の情報はお薬手帳に記録して、今後の治療に活かすようにしましょう。
いつでも元気 2025.6 No.403