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いつでも元気

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ケアマネの八面六臂な日々

 最近、電話やインターネットを使った詐欺が急増しています。つい先日、私の事業所にもNTTを名乗り、電話料金が未納だと電話がかかってきました。
 最初に自動音声のアナウンスが流れ、指示されるままに電話機の9番を押すと「○○です」と相手が出て名前を聞かれました。不審に思い、すぐに電話を切りましたが、そのまま対応していれば料金の振り込みなどを指示されたかもしれません。
 こうした詐欺は高齢者を狙っています。利用者のAさん(85歳男性、要介護度4)は、マンションで一人暮らし。ある日、Aさんのケアに入っているヘルパーさんから「背広の男性が『Aさんと会う約束をしている』と玄関前にいます。私が会えないと言っても動かないんです」と連絡がきました。
 急いでマンションに行くと、玄関前に若い男性が立っています。私は「ここにお住まいの方には後見人さんがいるので、単独での面会はお断りしています」と丁寧に説明しました。
 ところが、男性は「私はあなたと面会の約束をしたわけではない。電話でご本人と約束したので、あなたにとやかく言われる筋合いはない」と強気で反論してきます。
 「じゃあ、警察を呼びます」と言うと、「ちょっと、普通に話を聞けないのですか」と、引き下がりません。これ以上Aさんの個人情報を聞き出されるわけにはいかないので、「電話で約束したかどうかではなく、後見人さんが同席しないと会えないんです!」との一点で応戦しました。
 数回のやり取り後、男性はようやくあきらめて帰りました。次は警察に連絡して、一緒に対応してもらうことになるかもしれません。
 最近のマンションのエントランスは、オートロック(自動施錠)が主流です。オートロックだと住民の許可がなければ玄関前まで来ることはできませんが、Aさんが住むマンションは古く旧式のままです。
 防犯対策にはオートロックが必要だと思いますが、高齢者にとっては解除の手間が面倒です。Aさんが住むマンションもオートロックへの変更を検討したものの、住民に高齢者が多く、管理組合の反対で実現しなかったそうです。

後見人
判断能力が十分でない人の生活や財産を守るため、家庭裁判所によって選任される


石田美恵
全日本民医連「ケアマネジメント委員会」委員長

いつでも元気 2025.7 No.404