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いつでも元気

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青の森 緑の海

2024年12月 沖縄県名護市の大浦湾で

2024年12月 沖縄県名護市の大浦湾で

 今年も8月が来る。8月の沖縄は鎮魂の気配がある。学校の授業や行事、テレビのニュース、さまざまなところで〝戦争〟の2文字が目に入る。
 嘉手納基地の近くに暮らし、ヘリや戦闘機の轟音を日常とする僕たち家族にとって戦争は身近である。だから新たに平和について考えるというより、自分たちの置かれている状況を再認識する月となっている気がする。
 例えば10歳の息子なら、通っている小学校での米軍機の轟音は「当たり前」なのかと、考える月といえばいいだろうか。一方、僕の場合は撮影対象から戦争と平和について考えさせられる機会が多い。
 写真は沖縄県名護市の大浦湾にあるアオサンゴ群集。世界最大級の規模で、辺野古を訪れる人々の間で有名だ。
 この場所を発見し、「ジュゴンの里」として案内している東恩納琢磨さん(名護市議)とは、実は30年ほど前からの知り合いである。
 僕は当時ダイバーとして「二見以北十区の会」の人たちと出会い、活動を共にした。「基地に頼るより、自然と文化を活かした自立を」と立ち上げたエコツアー会社のスタッフになり、修学旅行の小中高生を中心にこの土地を3年間案内した。琢磨さんも初期メンバーだった。十代の若者がここで見せた表情は、僕の自然観の根底にある。
 2024年の高水温でアオサンゴも白化したが、踏ん張って生きている。この場所に潜るたび荘厳な光景に感動しながら、アオサンゴの声を聴く。その声は自分の原点を確認し、行く道を決める大切な道しるべとなっている。

名護市の二見区以北に位置する各区の住民有志で構成。辺野古の新基地建設に反対し、基地に頼らない地域おこしをめざす


【今泉真也/写真家】
1970年神奈川生まれ。中学生の時、顔見知りのホームレス男性が同世代の少年に殺害されたことから 「子どもにとっての自然の必要性」について考えるようになる。沖縄国際大学で沖縄戦聞き取り調査などを専攻後、沖縄と琉球弧から人と自然のいのちについて撮影を続ける。写真集に『神人の祝う森』『SEDI/ セヂ』など。

いつでも元気 2025.8 No.405