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いつでも元気

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ケアマネの八面六臂な日々

 いまケアマネジャーになる人が少なく、業務過多や低賃金を理由に他業種に職種変更をする人も現れています。厚生労働省が昨年、ケアマネの業務の現状と課題を明らかにしようと、「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」を6回開催しました。
 検討会で初めて「シャドーワーク」が議題にあがりました。シャドーワークは〝無報酬労働〟や〝影の仕事〟などと訳されます。本来のケアマネの業務(ケアプラン作成にかかわる相談業務や連絡調整など)以外に、やむを得ず対応している業務です。
 昨年12月に発表された検討会の「中間整理」では「高齢者の医療ニーズの高まりや、独居高齢者・認知症の方等への支援の増加、世帯の抱える課題の複雑化・複合化により、利用者や家族からの幅広い相談・依頼に、ケアマネが対応せざるを得ない状況にある」と、シャドーワークの背景にある社会状況を説明しています。
 シャドーワークの具体例は「マイナンバーカードの手続きの代行」「入退院手続き」「受診同行」「警察からの問い合わせの対応」「救急車の同乗」「亡くなった後の葬儀の手続き」などがあります。
 私は「ケアマネは〝なんでも屋〟ではない!」と、過剰な業務負担について各種集会で声を上げてきました。そもそもシャドーワークは、ほとんどがケアマネの善意に頼っています。
 利用者の家族事情や介護状況を知っているケアマネだからこそ、目の前で困っている利用者や家族を見て見ぬふりはできず、何とかしようとした結果とも言えます。また、利用者の生活に寄り添うことで公的な社会保障制度の隙間も見え、動かざるを得なくなることもあります。
 シャドーワークを考える時に、それは誰から求められているのかを明らかにすることが必要だと感じます。本来は家族が担うべきこと、行政が説明すべきこと、病院など医療機関が対応すべきことも業務になっているからです。
 利用者の生活全般に支援が必要な場合、その支援は本来、誰が担うべきなのかを見極めることも大切です。次回は実例を参考に、シャドーワークについて考えます。


石田美恵
全日本民医連「ケアマネジメント委員会」委員長

いつでも元気 2025.9 No.406