• メールロゴ
  • Xロゴ
  • フェイスブックロゴ
  • YouTube
  • TikTok

いつでも元気

いつでも元気

ケアマネの八面六臂な日々

 前号に続き、ケアマネジャーのシャドーワーク(無報酬労働や影の仕事)について。今回は実例を紹介します。
 「Aさんの尿道カテーテルが詰まってしまいましたが、うちの病院では交換できません。今からC病院の泌尿器科受診に、ケアマネがついて行ってください」―。
 ある日の夕方5時過ぎ、訪問診療の看護師から電話が来ました。Aさんの唯一の家族である弟は車で1時間ほどの場所に住んでいますが、仕事が夜勤のため来られません。Aさんは車いすを使用していて、認知機能の低下もあり、誰かが付き添わないわけにいきません。
 「何時に帰って来れるかなぁ」と言いながら、担当ケアマネが付き添って病院に向かいます。ケアマネが事業所に帰って来たのは午後8時過ぎでした。
 後日、何か他に手立てはなかったかを検討しました。Aさんは生活保護を受給しているので、自費の受診同行は福祉事務所が認めるか分かりません。そもそも夕方5時過ぎでは、福祉事務所が対応しません。
 別の事例です。「なんだか分からない書類が来ている」とBさんからケアマネに連絡がありました。自宅に行くと、難病の医療費助成受給者証の更新申請書類でした。
 Bさんはマイナンバーカードを持っているので、更新申請時にはカードを窓口で提示する必要があります。ケアマネはマイナカードをお預かりできないので、息子さんに更新をお願いするように言いました。しかし、Bさんは「息子は仕事で忙しいから頼めない。ケアマネがやってくれ」と言います。
 ケアマネから息子さんに手続きをお願いすると、「難病の申請も生命保険の手続きもケアマネがやってください」との返答です。個人情報の関係で、ご家族しかできないこともあります。「書類の記載はケアマネが手伝いますが、ご家族で確認のうえ提出をお願いします」と作業を分担し、やっと息子さんの了解が得られました。
 ケースバイケースではありますが、このようなことが大なり小なり起きていて、ケアマネの負担になっています。家族も医療者も行政も、「ケアマネに任せればいい」という風潮になってはいませんか?


石田美恵
全日本民医連「ケアマネジメント委員会」委員長

いつでも元気 2025.10 No.407