• メールロゴ
  • Xロゴ
  • フェイスブックロゴ
  • YouTube
  • TikTok

いつでも元気

いつでも元気

ケアマネの八面六臂な日々

 在宅で介護を続けている、あるいは介護を受けていると、双方に休養や気分転換が必要です。「家族の疲労が限界に近付いているかな」と感じた時には、ケアマネジャーから「ショートステイ」という、要介護者が一時的に施設に泊まるサービスを紹介することがあります。
 夜間に何度もトイレに行くなど、入院までは必要なくても、要介護者の状態を家族以外の方に評価してほしい時も「施設で介護の専門職の方に、生活パターンをみてもらいましょうか」と提案することがあります。
 要介護3のAさん(93歳)は認知症があり、次女と同居しています。ある日、Aさんが夜中に冷蔵庫の生肉を食べてしまったことがありました。物音に目覚めた次女が「何を食べているの?」と聞いたら「焼きそば」と答えたそうです。
 翌朝、Aさんは昨夜の出来事を覚えていません。私は「施設で夜間の行動をみてもらいましょうか」と提案、ショートステイを3泊4日で申し込みました。施設では夜中に2~3回トイレに起きましたが、空腹を訴えることなく、そのままベッドに入って就寝していたそうです。
 自宅ではトイレに行く途中でキッチンを通り過ぎるので、冷蔵庫が気になってしまうのかもしれません。また、次女は仕事をしており、自宅での食事時間が不規則なので夜中に空腹になる可能性もあります。私は自宅での食事時間や量を見直すことを家族に提案しました。
 慣れないうちは施設の利用を嫌がる要介護者もいます。ショートステイでも自宅に近い環境で過ごせるよう、あらかじめ要介護者の生活習慣や食の嗜好などを施設に伝えておくことが大切です。
 また、デイサービスと違い、ショートステイ中はリハビリやレクリエーションが常にあるわけではありません。家に帰ってきたら、要介護者のADLが落ちていたということもあります。利用する際には日数やタイミング、施設の情報をよく検討しましょう。
 24時間顔を合わせているより、少し距離を置くことでお互いに優しくなれます。施設に預けることに罪悪感を覚える家族もいますが、介護をする人もケアを受けるべきですから、自分を責めることはありません。

※ADL 
歩行や食事、着替えなど、日常生活を送る上で最低限必要とされる基本的な動作


石田美恵 
全日本民医連「ケアマネジメント委員会」委員長

いつでも元気 2025.11 No.408