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いつでも元気

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くすりの話 帯状疱疹ワクチン

執筆/森 吉男(大阪・西淀病院、薬剤師)
監修/野口 陽一(全日本民医連薬剤委員会、薬剤師)

読者のみなさんから寄せられた質問に
薬剤師がお答えします。
今回は、今年度から公費助成が始まった
帯状疱疹ワクチンについてです。

◆帯状疱疹にかかるリスク

 帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が体の中で長期間潜伏し、加齢、疲労、ストレス等で免疫力が低下することで発症します。症状は、痛み(ピリピリ、ズキズキなど)を伴うことが多く、体の片側に水ぶくれを伴う赤い斑点が帯状に広がります。皮膚症状が治ったあとも、帯状疱疹後神経痛とよばれる長期間にわたる痛みが続くことがあります。
 年齢を重ねるにつれて、特に50歳を過ぎると、帯状疱疹にかかるリスクが高くなります。リスクを軽減するための帯状疱疹ワクチンは現在2種類あります。ワクチンの接種回数や方法、効果とその持続期間、副反応について解説します。

◆2種類のワクチン

 帯状疱疹ワクチンには生ワクチン、不活化ワクチンの2種類があり、いずれか1種類を接種します。
・ 生ワクチン:皮下に1回注射
・ 不活化ワクチン:2か月以上の間隔をあけて2回筋肉内に注射
 生ワクチンの場合、免疫が低下している人や免疫抑制剤を内服している人は接種できませんが、不活化ワクチンは接種できます。
 帯状疱疹発症の抑制効果は生ワクチンが約50~60%、不活化ワクチンは約90%といわれています。予防効果は生ワクチンが5年程度、不活化ワクチンは9年以上持続するといわれています。
 生ワクチンは自費で9000円前後で1回の接種で済みます。一方、不活化ワクチンは自費で1回2万~2万5千円。2回接種しないといけないので総額4~5万円となり、費用が高くなります。公費助成によって自費の価格よりは安くなりますが、市町村ごとに自己負担額は違いますので、ご確認ください。

◆ワクチンの副反応について

 生ワクチンは注射を打った部位の腫れは半分くらいの方に出ますが、全身の副反応はあまりありません。稀にアナフィラキシー、血小板減少性紫斑病、無菌性髄膜炎などの重篤な副反応があります。
 不活化ワクチンは注射を打った部位の痛みが多くの方に出てしまいます。他に全身の副反応として多い頻度順に筋肉痛・疲労感、頭痛、悪寒・発熱があります。稀にショック、アナフィラキシーなどの重篤な副反応があります。
 50歳以上で帯状疱疹ワクチン接種をお考えの方は、各ワクチンの特性を十分に理解し、かかりつけ医療機関で相談してみてください。くすりの話 帯状疱疹ワクチン

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いつでも元気 2025.12 No.409