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いつでも元気

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ケアマネの八面六臂な日々

 ケアマネジャーの実態や、介護保険制度の状況をお伝えできればと、つたないエピソードを書いてきましたが、今回が最終回です。今まで読んでいただき、さらに感想を寄せていただいた皆様に感謝します。
 私は看護師として、みさと健和病院(埼玉県三郷市)に配属された時、医師から「患者さんの生活をみていない」と指摘されたことがあります。ケアマネになってからも、あの時の先生の言葉を思い出し、初心に帰ります。
 介護は暮らしの支援です。超高齢社会の進行により、医療と介護の連携なくして患者さんの生活は成り立たない状況になっています。しかし残念ながら、患者の生活や暮らす地域に目を向けない医療者もいます。
 また、地域の実態や介護事業所に関心の低い法人の経営幹部も見かけます。今は多くの病院が赤字で、法人の経営を他の事業でカバーしています。ただ、度重なる介護保険制度の改悪や人材不足により、介護事業所の経営も大変です。
 1人で40人を超える利用者を担当するケアマネが「こんなに頑張っても収益が上がらない」と疲れ果て、「自分たちは法人に必要な人材なのか」と落ち込んでいる様子を目にしたこともありました。
 私が勤める居宅介護支援事業所も毎月赤字ですが、ケアマネが同じグループのデイサービスやデイケア、訪問介護、訪問看護の事業所に、患者さんや利用者さんを紹介することで、経営に貢献しています(ただしケアマネは公正中立の立場で、過度な紹介は減算になるなどの制約があります)。
 ケアマネは患者さん、利用者さんの生活を支える、なくてはならない職種です。地域のさまざまな事業所の実態を知るケアマネが、「事業所の良い点はここ」「この点は改善した方がいい」と情報を提供することで、地域社会全体のサービスの質を向上することもできます。
 誌面で紹介したシャドーワークをはじめ、ケアマネは多くの煩雑な仕事を抱えています。患者さん、利用者さんのために、地域社会のために、医療と介護の連携を果たす大切な役割を担っていることを忘れず、お互い頑張りましょう。
(おわり)


石田美恵 
全日本民医連「ケアマネジメント委員会」委員長

いつでも元気 2025.12 No.409