青の森 緑の海

2025年8月、沖縄県国頭村
沖縄島北部で、漁師とダイビングガイドを兼業する苅田剛和さんと潜った。苅田さんは1969年広島生まれ、僕と同世代だ。専門学校在学中にダイビング実習で訪れた沖縄の海の虜となり、国頭村のホテルのマリン部門で働き始めた。僕の来沖と同時期で、勝手に共感している。ホテルから独立してからは国頭村漁業協同組合所属の漁師となり、最近は漁協の代表監事も務めている。
苅田さんが常々嘆く赤土堆積の酷いエリアを見せてもらった。北部のやんばるでは大雨が降るたびに川から赤土が流出し、海底に堆積する状態がずっと続いている。1975年の沖縄国際海洋博覧会に伴う山林開発から明るみになり、今も解決していない。
原因として、山林の皆伐や畑からの土壌流出などがある。短時間に大量のスコールが降る土地なので沈殿池などの対策はあるが、それを越えて濁流があふれ出るのが日常だ。本来、川は森の栄養を海へ届けるはずなのに。
水深3~5mの海底は一面泥の堆積だった。大きなハマサンゴの上にも泥が被り、水中で呼吸するサンゴにとっては致命的な状況だった。サンゴは粘膜を出すことで触手の上に乗った物を排除しているが、それが慢性的になると体力を使い果たし衰弱する。
このエリアは苅田さんの漁場だという。国頭の土地に惚れこみ、家を建て、この土地で子どもを育て漁師にまでなった苅田さん。やるせない想いが水中で伝わってきた。
【今泉真也/写真家】
1970年神奈川生まれ。中学生の時、顔見知りのホームレス男性が同世代の少年に殺害されたことから 「子どもにとっての自然の必要性」について考えるようになる。沖縄国際大学で沖縄戦聞き取り調査などを専攻後、沖縄と琉球弧から人と自然のいのちについて撮影を続ける。写真集に『神人の祝う森』『SEDI/ セヂ』など。
いつでも元気 2026.2 No.411
