青の森 緑の海
時代とウミガメ

2025年8月、沖縄県糸満市
ウミガメ。大きな体で海原を自由に泳ぎ、恐竜の直系といえる存在感を持つ爬虫類だ。竜宮城の昔話もあり、ダイバーにとっても、ウミガメと泳ぐことは憧れだった。だが近年、彼らの立ち位置が変わりつつある。
写真は浅瀬で一心に海草を食べるアオウミガメ。海草はジュゴンの食糧として知られるほか、地球上の二酸化炭素を吸収・固定したり、稚魚の住処の役割を担うなど生態系にとって重要な植物だ。
以前、西表島のガイド・森本孝房さんから、海草のウミショウブ群落がウミガメに食べられて次々と消えているという話を聞いた。海中に潜ると確かに、新芽が伸びる先から食べられていた。
その後、西表島と石垣島では海草藻場を守る防護柵を設置するなどの対策を講じた。海産物の源となる海草藻場を残し、漁獲高の回復を図りたいと協力する漁業者もいる。
アオウミガメは沖縄をはじめ南の国々で食用として乱獲された歴史もあり、絶滅危惧種として近年は保護されてきた。今度は増えすぎたとして、自治体によっては、食用も視野に入れた「頭数管理」を検討し始めている。
ウミガメの数が増えた原因として、捕食者のサメが減少したことも挙げられる。一方、海洋プラスチック汚染の観点から、ウミガメを保護すべきとの声もある。自然は微妙なバランスで成り立つ。人間が問題を複雑にしているのは確かなようだ。
【今泉真也/写真家】
1970年神奈川生まれ。中学生の時、顔見知りのホームレス男性が同世代の少年に殺害されたことから 「子どもにとっての自然の必要性」について考えるようになる。沖縄国際大学で沖縄戦聞き取り調査などを専攻後、沖縄と琉球弧から人と自然のいのちについて撮影を続ける。写真集に『神人の祝う森』『SEDI/ セヂ』など。
いつでも元気 2026.5 No.414
