青の森 緑の海
平和をつくる場所

2018年2月 沖縄県読谷村
今年も6月23日の「慰霊の日※」がやって来る。執筆中の3月、中東でまた戦争が起きた。戦闘は周辺国にも波及しており、沖縄県中部にある米軍嘉手納基地近くの我が家では、緊張を感じている。
戦争を始めた理由は様々だろうが、「AI兵器の威力を軍事マーケットに宣伝するため」と分析する人もいる。開戦日だけで1200億円という巨額の財政出動も、大統領は〝ビジネスとして〟回収できると踏んだのか。今後は自衛隊がこれらの新兵器を購入する可能性や、家族を殺された人々による9・11のような報復も懸念される。
戦争がなくなるとしたら、その力の源はどこにあるのだろう。僕は写真家なので、その可能性を芸術と自然に見る。どちらも人種や国境を問わず、人の「心」を動かす力があるからだ。
写真はチビチリガマ(読谷村)の広場にたたずむ彫刻家、金城実さん。チビチリガマは沖縄戦当時、住民83人が強制集団死した場所として知られ、入口には金城さん制作の塑像「チビチリガマ世代を結ぶ平和の像」がある。
金城さんは筋金入りの平和主義者だが、強要はしない人だ。以前地元の少年たちがガマを荒らした時も、彼らを受け入れ、ともに考え、祈りの像の制作へと誘った。
この森深い場所で人々が手を合わせる時、塑像は静かにその人の心を照らし、ここで起きた出来事と平和への想いが手渡される。豪快で繊細な心を持つ金城さんは、「訪れる人々がハブに噛まれないように」と枯葉を野焼きしながら、この歴史の先にある光を見上げているようだった。
※慰霊の日 沖縄戦の組織的戦闘が終結したとされる日。沖縄県は平和を願う日として休日にしている
【今泉真也/写真家】
1970年神奈川生まれ。中学生の時、顔見知りのホームレス男性が同世代の少年に殺害されたことから 「子どもにとっての自然の必要性」について考えるようになる。沖縄国際大学で沖縄戦聞き取り調査などを専攻後、沖縄と琉球弧から人と自然のいのちについて撮影を続ける。写真集に『神人の祝う森』『SEDI/ セヂ』など。
いつでも元気 2026.6 No.415
