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いつでも元気

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くすりの話 糖尿病治療薬によるダイエットの危険性

執筆/下浦 芳久(兵庫・東神戸病院、薬剤師)
監修/石井 亮(全日本民医連薬剤委員会、薬剤師)

読者のみなさんから寄せられた質問に薬剤師がお答えします。
今回は「GLP-1ダイエット」と呼ばれる、
糖尿病治療薬を使ったダイエットの危険性について
解説します。

 近年、SNSを中心に「食事制限なしで痩せる」といった謳い文句で、GLP-1ダイエットという言葉が飛び交っています。一部の美容クリニックなどが自由診療で広く処方しており、身近に感じている方もいるかもしれません。

GLP-1受容体作動薬とは?

 GLP-1受容体作動薬のマンジャロやリベルサスなどは2型糖尿病の治療薬で、ウゴービは高血圧や脂質異常症を合併した肥満症のために開発された医療用医薬品です。これらは血糖値を下げるインスリンの分泌を促したり、胃腸の動きを緩やかにして満腹感を持続させる強力な作用を持っています。美容目的の手軽な痩せ薬として作られたものではありません。
 厚生労働省と日本糖尿病学会は、治療薬をダイエット目的に使うことに注意喚起をし、適正な使用を呼びかけています。

美容・痩身目的に潜む3つの危険性

①医療用医薬品の転売は違法
 SNS上でマンジャロなどを無許可で販売・転売目的で保管していたとして、26年6月、大阪府警は医薬品医療機器法(薬機法)違反の容疑で男女3人を書類送検しました。医療用医薬品を国や自治体の許可なく転売・譲渡する行為は、重大な違法行為です。小遣い稼ぎや「薬が余ったから」という理由であっても、厳しく処罰されます。

②重篤な副作用と中止後のリバウンド
 GLP-1受容体作動薬には、吐き気、嘔吐、便秘などの消化器症状だけでなく、激しい腹痛を伴う急性膵炎や腸閉塞など命に関わる副作用のリスクがあります。また最新の臨床研究では、これらの薬剤は使用を中止すると体重が元の状態に再増加(リバウンド)することが報告されています。
 また、自由診療や個人輸入で健康被害が起きても、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となり、すべて自己責任となってしまいます。
③海外の未承認新薬を巡る個人輸入の罠
 海外で承認を受けた新しい経口GLP-1受容体作動薬が、日本国内では未承認の段階からネットなどを通して、非正規に流通することが懸念されています。安全性が担保されていない海外製薬剤の個人輸入には、偽物の混入や不適切な温度管理による健康被害のリスクが極めて高く、大変危険です。

健康的な体は正しい選択から

 医薬品は、正しい対象者に正しい指導のもとで使われて初めて「薬」となります。楽に痩せられるという魔法の薬はありません。体重や体調に悩みがある場合は、まずはかかりつけの医師や薬剤師へお気軽にご相談ください。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2026.9 No.418