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いつでも元気

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けんこう教室 見逃さないで!間質性肺炎

大阪・うえに生協診療所 金谷 邦夫

大阪・うえに生協診療所
金谷 邦夫

コンコンと長引く咳、ちょっとした運動で息切れ…。
その症状、もしかしたら間質性肺炎かもしれません。
早期発見が重要なこの疾患について、
うえに生協診療所(大阪市)の金谷邦夫医師の解説です。

 最近、間質性肺炎という言葉を耳にすることが増えました。歌手の八代亜紀さんがこの病気で亡くなったというニュースを、覚えている方も多いのではないでしょうか。実はこの病気、男性の死因でトップ10に入るくらいに増えています。
 では、間質性肺炎と普通の肺炎との違いはどこにあるのでしょうか?
 細菌やウイルスによる肺炎の多くは、肺組織の末端にある肺胞の空間(肺実質)に起きる肺胞性肺炎です。年代を問わず発症し、適切な抗菌薬などで治癒します。
 これに対し間質性肺炎は、肺胞を取り巻く壁の部分(肺間質)で起きる炎症で、多くが慢性的に進行します。炎症によって壁が厚く硬くなり(線維化)、酸素と二酸化炭素のガス交換がスムーズに行われず、次第に呼吸困難になります(資料1)。

種類と原因

 間質性肺炎にはさまざまな種類があり、「間質性肺炎症候群」といってもよいほどです。最も多いのは原因不明で、特発性間質性肺炎と呼ばれています(資料2)。
 原因が明らかな二次性間質性肺炎の中には、ウイルスなど微生物によって起こるものもあります。コロナウイルスによる肺炎の多くは間質性肺炎の形を取り、劇症の方の多くが亡くなられました。
 感染以外では、関節リウマチや皮膚筋炎、全身性進行性硬化症など、膠原病と言われる自己免疫疾患でも合併します。
 また、環境要因でも発症します。過敏性肺炎はアレルギー的な仕組みで発症しますが、肺炎の病変部位は肺間質で起きます。インコやハトなどの飼育による鳥飼病もその1種です。
 職業的要因で発症するものもあり、粉塵などを吸入して炎症が起こります。石綿肺(アスベスト肺)などが相当します。

経過と症状

 間質性肺炎の経過としては、発症から急速に進展する急性型と、ゆっくりと進展し、健診などで偶然見つかる慢性型があります。慢性型の場合でも、突然、急性型に転化することもあります。
 急性型では咳、労作時の息切れ(階段の上り下りや重いものを持った時など)、呼吸困難といった症状が進展し、一部には発熱もあります。
 これに対し慢性型では発熱は少なく、息切れがあっても「年のせいかな?」と気に留めず、見過ごしてしまうこともあります。診断されたときには間質性肺炎がかなり進み、肺の線維化が認められるほどだったということもあります。

診断

 間質性肺炎の特徴的な所見として、肺底部(背中側の下方)から「バリバリ」「プチプチ」という、マジックテープをはがす時のような音が聞こえます。慢性進行例では、バチ状指(指先が太鼓のバチのように丸く膨らんだ状態)が見られることもあります。
 胸部レントゲンでは、肺の下方で網目状や、もやもやした陰影が認められます。胸部CT画像では、すりガラス状や線維化、ハチの巣状(蜂窩肺)などの陰影が認められます。
 血液検査は、原因によってそれぞれ特異的な項目をチェックします。同時に、原因の鑑別を目的として、可能性が考えられる項目を選んで検査します。
 共通して参考にできる血液検査項目としてKL-6※やSP-D※などがあり、線維化の程度や病状変化の判断に役立ちます。
 診断や原因の確定のためには病理学的検討が必要ですが、肺組織の一部を採取する肺生検という手術が必要です。しかし、生検を機に病勢が悪化することもあるため、現在は「特発性」については必ずしも必要とはされていません。
 診断は単独医師で行うのではなく、MDD(臨床医や病理医、放射線科医などによる集学的検討)が推奨されていますが、そういう体制は一般の病院では難しいのが現状です。

治療

 間質性肺炎の治療は、原因によって異なります。これまでは副腎皮質ステロイドがよく使われてきましたが、現在では症状の急激な悪化など、使わざるを得ない時を除き推奨されていません。一番多い「特発性」は経過が緩やかな場合が多く、経過観察という選択もあります。
 近年は、坑線維化薬で病勢を遅らせることが可能になりました。しかし、途中で内服を止めると悪化を早める恐れがあり、副作用の対策をしながら飲み続けることが必要です。
 日常生活では、病勢に悪影響を与えないための禁煙が大事な対策になります。また、感染をきっかけに症状が悪化することもあるのでワクチン接種などの予防対策も重要です。
 病勢が進展すると低酸素状態となり、在宅酸素療法が生活の質を維持するために必要になります。また、末期には緩和ケアも選択されます。

※KL-6とSP-D:どちらも肺の細胞で作られるタンパク質の一種。間質性肺炎などを調べるための血清マーカーとして使われる


PFASで間質性肺炎が発症?

資料3 ダイキン工業労働者の胸部CT画像

資料3 ダイキン工業労働者の胸部CT画像

 いま、軍事基地周辺や産廃処理施設周辺で、PFAS(有機フッ素化合物)による河川や地下水の汚染、水道水汚染が問題になっています。
 大阪府摂津市のダイキン工業の工場では、PFOA(PFASの一種)粉塵の吸入による健康被害も懸念されています。工場で働く人たちの中で、複数の人が間質性肺炎と診断されていることが分かり、文献的にも検討した結果、粉塵吸入によって起きた可能性が極めて高いと判断しました。資料3は、そのうちの1人の方の就労中の胸部CT画像です。
 就労とPFOAの曝露から長い経過を経て診断されたことが特徴的で、アスベスト粉塵吸入による石綿肺が、長い経過後に発症するのに似ています。このように、粉塵にさらされる作業従事者は、長期の健康観察も必要です。
 また、工場周辺の住民の中で、約10年の間に4人の方が間質性肺炎で亡くなっていることが分かりました。まだ実証はできていませんが、粉塵が影響している可能性を疑っています。
 PFAS製造現場だけでなく、PFAS使用現場(テフロン吹きつけ作業、衣料品など撥水加工従事者など)でも、注意が必要です。

いつでも元気 2026.10 No.419