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いつでも元気

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まちのチカラ 福井県大野市 太古とつながる城下町

文・写真 橋爪明日香(フォトライター)

九頭竜湖と下流にある九頭竜峡は紅葉の絶景スポット(提供:大野市)

九頭竜湖と下流にある九頭竜峡は紅葉の絶景スポット
(提供:大野市)

福井県東部に位置する大野市。
霧に包まれた越前大野城や化石発掘の体験、
地元グルメの醤油カツ丼、
そして紅葉に染まる九頭竜湖や
星空の南六呂師エリア。
現代から太古までを感じるまちを訪ねました。

 福井駅から東へ車を走らせること約40分。山間を縫うように抜けて視界が開けると、越前大野城が目に飛び込んできました。大野盆地の平野に小高くそびえる亀山(標高249m)に築かれた平山城です。

雲海の天守

 初代城主は織田信長家臣の金森長近。1576年(天正4年)から4年の歳月をかけて城郭を築き、麓には碁盤目状の城下町を整備しました。現在の天守は江戸時代の大火で焼失後、1968年(昭和43年)に往時を推定して再建し、歴代城主の遺品などが展示されています。秋の紅葉や桜の名所としても知られ、城へ続く遊歩道を歩くのも楽しみの一つです。
 越前大野城は天空の城としても知られます。秋から春に朝霧によって大野盆地が雲海に覆われると、雲の上に城だけが浮かんでいるような幻想的な光景が現れます。気象条件がそろった瞬間にしか出会えない、まさに幻の城です。

1億年以上前の世界へ

 大野市は、明治時代に国内初のジュラ紀のアンモナイト化石が発見されるなど、日本の古生物学史に刻まれる化石産地。近年では初期のティラノサウルス類の歯の化石が見つかっています。そんな太古のロマンを体験できる化石発掘体験センターHOROSSA!を訪ねました。
 体験センターには、中部縦貫自動車道のトンネル工事で掘り出された実際の地層の岩石が運び込まれ、石を割って化石を発掘することができます。
 年代の異なる3種類の石が置かれ、約1億6600万年前(中期ジュラ紀)の石からはアンモナイトやその仲間のべレムナイト、二枚貝など当時の海に生息していた生物の化石が見つかります。一方、約1億3000万年前(前期白亜紀)の石からは、川や湖の周辺植物などの化石が中心です。
 発掘方法はいたってシンプル。ゴーグルを着け、タガネを石に当ててハンマーで叩くだけ。道具は貸し出してくれるので手ぶらで参加できます。
 「石を割ってみると、1億年以上前の世界が出てくる。発掘したら、その当時生きていたものを最初に見る人になれます」と化石研究補助員の坂本拓海さん。子どもの頃にこの地で化石発掘を体験したことをきっかけに研究の道へ進み、大阪から大野市へ移住しました。
 さらに、近くの和泉郷土資料館くずりゅう化石ラボ ガ・オーノでは、大野市で発見された恐竜やアンモナイト、貝類、植物などの化石の展示を見ることができます。ぜひ、あなたも地球のロマンに触れてみてください。

70店舗 それぞれの味

 カツレツ消費量日本一の福井県といえば、ソースカツ丼が定番ですが、大野市にはもう一つのご当地カツ丼があります。それが醤油カツ丼です。
 その誕生には、老舗の醤油屋と飲食店のつながりがありました。市内の醤油メーカー「野村醤油」とお食事処しもむらの店主が同級生。野村醤油の県外のお客さんから、「ソースかつ丼があるのに、醤油かつ丼がないのはなぜ?」と言われたことがきっかけで、醤油を使ったカツ丼のタレを開発したのが始まり。現在では地域を挙げてPRを続け、70店舗以上で提供されています。
 基本のルールは、①福井県産の醤油を使ったタレ②カツ(食材は問わない)③たっぷりの野菜。この3つを守れば、あとは店ごとに自由です。豚肉の代わりにサバを使う店、キャベツや大根おろしを添える店など、味も姿もさまざま。
 「自分の店だけの醤油カツ丼じゃなくて、みんなでやっているご当地グルメ。これをきっかけに大野を知ってもらえれば」と、しもむらの下村和貴さん。ソースカツ丼よりもあっさりと食べられる醤油カツ丼は、子どもから年配の方まで親しみやすい一品です。カリッと香ばしく揚がったカツに、醤油ベースのタレが染み込み、ご飯がどんどん進みます。
 さらに、大野は県内有数のそばの産地としても知られています。福井県でおなじみのおろしそば+醤油カツ丼という組み合わせで、大野の食文化を一度に味わうのもお勧めです。 

星の海が広がる

 旅の最後に豊かな自然をご紹介しましょう。まずは山あいに広がる九頭竜湖へ。九頭竜ダムによって生まれた湖は、山々に囲まれた雄大な自然が魅力。秋になると、湖畔のブナやモミジなどが赤や黄色に色づき、深い藍色の湖面とのコントラストが美しい風景を作ります。
 例年、紅葉は10月下旬から11月上旬ごろが見頃。湖畔の道路からは、場所ごとに変化する秋の風景を楽しむことができ、ドライブにもぴったり。
 もうひとつ訪れたいのが南六呂師エリアです。ここは星空の世界遺産とも呼ばれる星空保護区®に認定されています。地域の産学官民が一丸となって、光害啓発活動や屋外照明の改善に取り組みました。
 昨年夏にはキャンプ場ソラトダイチがオープンし、星のまち おおのとしての魅力も発信しています。夜空に浮かび上がる天の川を、澄んだ空気に包まれて肉眼で眺めてみてください。

■次回は北海道留萌市です。

まちのデータ

人口
2万8741人(9月1日現在)
おすすめの特産品
上庄さといも、大野在来そば、九頭竜まいたけ
アクセス
東京駅から福井駅まで北陸新幹線で3時間。福井駅から越前大野駅までJR越美北線または京福バス大野線でいずれも1時間
問い合わせ
大野市地域経済部観光交流課 
0779-64-4082

いつでも元気 2026.11 No.420