• メールロゴ
  • Xロゴ
  • フェイスブックロゴ
  • YouTube
  • TikTok

民医連新聞

民医連新聞

【連載企画】64.新型コロナウイルス感染症に関する予防薬、治療薬の副作用のまとめ

2026年8月改訂

 2019年12月に新型コロナウイルス感染症が中国武漢で確認され、翌3月にWHOがパンデミック宣言をしてから2年以上が経ち、現在国内陽性者数が累計16.9万人(2022年8月厚労省報告)まで増加しています。
 2017年10月に医薬品条件付早期承認制度が施行され、新型コロナウイルス感染症の予防薬(新型コロナワクチン)、治療薬はこの制度で承認されています。
 新型コロナワクチンは、2021年2月から医療従事者を対象に先行接種が始まり、2022年8月までに1回目104百万人(82.1%)、2回目102百万人(81.0%)、3回目80百万人(63.9%)、4回目20百万人(8/19首相官邸情報、%は全人口に占める割合)が接種を受けています。通常であれば、集団免疫が獲得されて、終息している段階ですが、まだまだワクチン接種は必要となりそうです。
 当副作用モニターにも新型コロナワクチンの副反応報告が集積され、2022年8月までに49件の報告が上がっています。
 新型コロナウイルス治療薬としては2022年8月現在、レムデシビル(ベクルリー点滴静注用®)、デキサメタゾン、バリシチニブ(オルミエント錠®)、カシリビマブ・イムデビマブ(ロナプリーブ注射液セット®)、ソトロビマブ(ゼビュディ点滴静注液®)、モルヌピラビル(ラゲブリオカプセル®)、トシリズマブ(アクテムラ点滴静注®)、ニルマトレルビル・リトナビル(パキロビッドパック®)の8薬剤が承認済みで、他4剤も開発中です。 

1.新型コロナワクチン

副作用モニター情報〈560〉 新型コロナワクチン副反応のまとめ(上)
 医療従事者を対象とした新型コロナワクチン(商品名:コミナティ)の先行接種が実施されるなか、多くの民医連事業所でワクチン接種後の副反応に関するアンケート調査が行われました。
 今回、各協力医療機関より、アンケートデータを収集し集約しましたので、その結果を報告します。
 なお、今回報告する調査結果は統一のプロトコール下で実施されたものではないことをご了承ください。
【調査対象症例数】
ワクチン接種1回目:2856例
ワクチン接種2回目:2509例
【調査結果】
・注射部位反応の発生件数は接種1回目:63%、2回目:75.1%でした。一方で先行接種研究(順天堂大研究班報告)では1回目:92.8%、2回目:91.5%となっており、結果に大きな差が見られました。大きな差が発生した原因は不明ですが、年齢や性別により副反応出現頻度が異なることが報告されており、接種対象の違いが結果に現れている可能性があります。
・注射部位反応以外では「37.5℃以上の発熱」の発現頻度が、1回目2回目比較で12.8倍(2.5%vs31.9%)と突出して上昇していました。そのほか、「悪寒」7.1倍、「関節痛」5.4倍、「頭痛」2.8倍、「疲労倦怠感」2.9倍と、全体的に2回目接種時に副反応の発生頻度が上昇していました。先行接種研究でも注射部位反応以外の副反応に関して、同様の結果が得られており、あらためて2回目接種時に副反応発生頻度が上昇することが確認されました。
・今回のアンケート調査では副反応の重症度は評価されておらず、発生頻度以外の副反応の状況については評価することができませんでした。

* * *

 次回はアンケート調査の中でみられた特徴的な個別症例や、教訓的な事例について報告します。

(民医連新聞 第1744号 2021年9月6日)

副作用モニター情報〈561〉 新型コロナワクチン副反応のまとめ(下)
 前回は民医連各事業所で実施されたアンケート調査のデータ集約結果を紹介しました。今回はアンケート調査で寄せられた気になる個別症例、事例などについて紹介します。
・今回の調査で報告されたアナフィラキシーショックは1件のみでした(詳細不明)。ただし、アナフィラキシーの発生を疑う個別症例は複数報告されており、潜在的なアナフィラキシー発生リスクはやはり高いと考えられます(新型コロナワクチンのアナフィラキシー発生リスクは従来のワクチンの2~10倍とされています)。
・長野県民医連内の事業所が行ったアンケート結果によると、ワクチンを接種した職員のうち、42%が「業務への影響があった」と回答。全体のアンケート結果でもワクチンによる副反応そのものではなく、副反応が業務へ影響をおよぼすことに強いプレッシャーを感じていた様子がうかがえました。副反応だけでなくメンタル面へのフォローも重要です。
・2件の味覚異常、嗅覚異常の発生が報告されています(詳細不明)。新型コロナワクチンと後遺症の関係については徐々に情報が出てきていますが、現時点でははっきりした結論は得られていません。
・喘息(ぜんそく)既往のある人で、ワクチン接種後に喘息発作が出現した症例が複数確認されました。現時点で喘息と新型コロナワクチンによる副反応発生に相関性はないとされていますが、喘息患者にはアレルギー体質の人も多く、注意が必要です。
・ワクチン接種後の副反応(主に発熱、疼痛(とうつう))に対して、アセトアミノフェンを中心とした解熱鎮痛剤が用いられました。一部に不適切と思われる使用例(予防投与など)がみられ、ワクチン接種時に医薬品情報が十分に提供されていたか検証が必要です。

* * *

 新型コロナワクチンの有効性は高齢者の死亡率の減少や感染者数の減少からも明らかになりつつあります。一方で、中・長期での安全性については、十分なデータがそろっているとは言えず、またワクチン接種後の死亡事例に関する検証もこれからです。
 3回目のワクチン接種の開始が検討されるなか、今後、新たな副反応が発生する可能性もあります。新型コロナワクチンに関する情報収集と発信を継続していきましょう。

(民医連新聞 第1745号 2021年9月20日)

 

副作用モニター情報〈565〉 新型コロナウイルス感染症予防薬、治療薬の早期承認、特例承認について
 新型コロナウイルス感染症予防薬・治療薬の承認は日本の「条件付き早期承認制度」(2017年10月施行)、「特例承認」にもとづいて行われています。条件付き早期承認制度にもとづいて臨床試験を行っているファビピラビル(アビガン)はいまだ承認には至っていません。
 新型コロナワクチン、レムデシビル、カシリビマブ/イムデビマブなどは、「特例承認(国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品)」扱いです。(薬機法第14条3)によって承認され使用されています。
 米国にも代替エンドポイントにもとづく医薬品の承認制度である「迅速承認制度」があり、重篤疾患における新薬の速やかな入手を可能にする一方で、問題が生じてきています。
 制度開始から約20年経過した2010年に、迅速承認により市販されていた医薬品がFDA(米国食品医薬品局)により承認取り消しとなる初めての事例がでています。2021年にはアルツハイマー病治療薬・米Biogen社の「Aduhelm」(アデュカヌマブ)に関して、諮問委員会は有効性が不確かであり副作用のリスクを考慮すると、「健康上、有益性をもたらすというエビデンスが不十分」と指摘しました。「アミロイドβ(Aβ)を減少させる」という代替的な評価項目で迅速承認をしたことについてFDA長官代理が審査プロセスを明らかにするよう文書を公表する事態になっています。
 日本で特例承認された新型コロナウイルス感染症予防薬・治療薬の多くは、現時点では有用と考えられています。ただ、国外で承認されている医薬品を、そのまま早期承認、特例承認で使うことは、上記のような問題が生じる可能性は十分にあり得ます。
 医薬品は、製薬企業が利潤を追求して販売する商品である以上、私たちは患者の立場に立って厳しく医薬品評価を続けていくことが必要です。

(民医連新聞 第1749号 2021年11月15日)

副作用モニター情報〈567〉 新型コロナワクチンの副反応
 新型コロナワクチン(商品名:コミナティ筋注)について、2021年8~10月の3カ月間に17例の副反応の報告がありましたので紹介します。
 副反応のあった人の年齢は20代1人、40代1人、50代1人、60代2人、70代8人、80代4人。性別は男性4人、女性13人。1回目接種10人、2回目接種5人、1、2回とも発症2人。グレード分類では軽症4例、中等症9例、重症4例で、外来処置のみが9例、入院加療8例でした。
〈添付文書に記載のある副反応〉
・紅斑、中毒疹9例 発症2時間~7日、 回復1日~19日
・吐き気を伴うもの4例(入院3例) 発症数時間~1日、回復2日~10日
・持続する発熱4例 発症1時間~1日、回復1日~19日
・アナフィラキシー1例 発症20分、入院加療、回復4日
〈添付文書に記載のない副反応〉
・急性心外膜炎 発症7日目、入院加療、25日軽快退院
・たこつぼ心筋症に起因する横紋筋融解症 発症9日、入院加療にて26日で軽快退院
・腸閉塞 発症1日、入院加療、8日未回復
・腎盂(じんう)腎炎 発症1日(精神科入院中)、2日目内科に転院、未回復
・帯状疱疹(ほうしん) 発症5日目、めまい、嘔気出現のため入院加療、15日改善で退院
・帯状疱疹再燃 臀部膿痂疹(でんぶのうかしん)治療中で安定していたが翌日再燃、加療にて16日改善
 皮疹がもっとも多く9例で、重症度も中等症~重度と高いですが、2~3週間で改善しています。吐き気が持続する症例は重症度が高く、飲水も不可となり入院加療が必要となっています。帯状疱疹が悪化した症例が2例発症しました。ワクチン接種後一過性のリンパ球減少により帯状疱疹を発症している症例の報告が海外でもあり、再燃した可能性も否定できません。また心外膜炎、心筋症に起因する副反応も2例報告されています。
 DLST(薬剤リンパ球刺激試験)を実施した症例は4例で、いずれも陰性の結果でしたが、ブリックテストで陽性となった症例もあります。3回目の接種も始まりました。特にハイリスク患者では対応の遅れで深刻な経過をたどることもあり、注意が必要です。

(民医連新聞 第1752号 2022年1月17日)

副作用モニター情報〈578〉 コロナウイルスワクチン新型コミナティ筋注による握力低下の副作用
 コミナティ筋注(コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)、以下、コミナティ)によるさまざまな副反応が報告されています。発熱や頭痛、心筋炎などの症状は報道もあり、一般的に知られているようです。今回、コミナティ接種後の痺(しび)れ・握力低下の報告が寄せられました。
症例)30代女性
 コミナティ筋注1回目を左腕に接種。
接種6日後:体調不良・食思不振発現。
接種8日後:リンパ節腫脹出現。
接種9日後:左腕の痺れ発現。
接種13日後:食思不振、ふらつきあり、精査目的で入院。元々、握力は右38kg、左42kgくらいあったが、左が弱くなっていた(この時の握力不明)。翌日、ふらつきは改善したため退院。
接種30日後:左腕の痺れとむくみが少し残っている。
接種65日後:整形外科受診。握力は右31kg、左14kg。外来リハビリ導入。
接種68日後:リハビリを開始、毎日の物理療法を継続。以降の左腕の握力は次の通り。
接種4カ月後 物理療法前6.2kg⇒物理療法後9.4kg⇒リハビリ後31.6kg
接種5カ月後 物理療法前16.1kg⇒物理療法後16.9kg⇒リハビリ後28.3kg

 物理療法前は10kg台の状態が続き、なかなか改善が見られず。接種8カ月後になっても左腕の痛みと痺れ、リンパ節腫脹が改善せず、ジクロフェナク坐剤、アミトリプチリン、プレガバリンを処方された。握力低下の状態では車の運転が不可能で日常業務も困難だが、接種から
1年後もリハビリを継続しながら就業継続中。

* * *

 本症例における痺れは感覚異常なのか、握力低下は筋力低下に該当するのか不明ですが、ファイザーの第6回市販後調査中間報告には、感覚異常13件、筋力低下49件とあります。リンパ節腫脹は、コミナティ以外の炎症に起因する可能性も否定できません。ただ、コミナティ接種前はなかった症状が、接種後に起きたこと、また、接種後リハビリなどにより以前より症状が改善していること、から、コミナティによる副反応の可能性は否定できないと考えます。

(民医連新聞 第1765号 2022年8月1日)

副作用モニター情報〈650〉インフルエンザHAワクチンとコミナティによるアナフィラキシーショック

 

2.新型コロナウイルス感染症治療薬

副作用モニター情報〈585〉 新型コロナ治療薬副作用まとめ
 2019年末に中国で感染が確認された新型コロナウイルス(COVID-19)は、世界中に感染拡大し、2020年3月に世界保健機関(WHO)はパンデミック宣言を行いました。
 感染拡大当初は有効な治療方法が確立できておらず、世界中を大きな混乱が覆いました。しかしパンデミック発生から2年以上が経過した今、世界的なワクチン接種のひろがりと、治療方法の確立により、徐々に混乱は落ちつきつつあります。
 日本国内では、海外で既に使用実績がある医薬品に限り、本来の手続きを短縮・省略して販売を認める「特例承認制度」のもと、さまざまな治療薬が承認され、ひろく使用されてきました。
 今回は、特に使用頻度が高いと思われる4薬剤について、全日本副作用モニターおよびPMDA(医薬品医療機器総合機構)に集約された副作用報告をまとめました。今回報告されているものは治療薬使用中に発生した症状すべてを拾い上げており、かならずしも副作用とは限らないことをご留意ください。
 全日本副作用モニターに報告されたCOVID-19治療薬関連副作用はベクルリー点滴静注用7件(肝障害6件、嘔気1件)、ゼビュディ点滴静注液1件(肝障害1件)、ラゲブリオカプセル4件(顔面の腫れ、下痢、発疹、不眠各1件)でした。いずれも重症度は低く、重大な経過をたどった症例はありません。
 また、2022年8月までにPMDAに報告された有害事象は、以下の通りです。

 各新型コロナウイルス治療薬は世界的なパンデミック下で多数の患者に使用されましたが、最終的な有効性・安全性評価までには今しばらく時間がかかると思われます。
 また、発売後2年足らずの薬剤が多く、今後も未知の副作用が発現する可能性はゼロではありません。ひきつづき情報収集、患者観察を行っていくことが重要です。

(民医連新聞 第1772号 2022年11月21日)

 

副作用モニター情報〈595〉 新型コロナウイルス感染症治療薬レムデシビルによる薬剤性肝障害の副作用
 レムデシビル(ベクルリー点滴静注用100mgR)は、入院が必要な新型コロナウイルス感染症の患者に対する抗ウイルス薬です。抗体医薬品がオミクロン株以降耐性を持たれてしまったため、ほぼ使えなくなっています。一方、本薬はウイルスRNA鎖の伸長を停止させる機序により、ウイルス増殖を防ぐため、BA2やXBBなどの亜型にも有効性を保持していると考えられています。そのため、入院患者の抗ウイルス注射剤として唯一の選択肢になっている薬剤です(内服薬は別にありますが)。
症例)50代 男性
 COVID-19にて入院。レムデシビル投与2日前から、ベタメタゾン6mg/日を開始している。
 投与1日前から、ワーファリン錠2.5mgを再開した(肺炎、酸素投与などの記載はなし)。
 投与2日前のASTは57、ALTは28で、若干高値であるが、投与に問題のあるほどではなかった。
 レムデシビル投与開始。初日200mg、2日目は100mg(標準用量)。
 開始して2日後にAST270、ALT310に上昇。レムデシビル投与による肝障害を疑い、3日目以降の投与を中止した。ベクルリー投与中止後、INRが高値であったため、ワーファリンを中止し、ケイツーを使用していた。
 投与中止5日後、AST61、ALT197に改善していた。
 その後、ワーファリンも再開し、その他定期服用薬剤も再開したが、肝機能障害は現れなかった。そのため、レムデシビルを被疑薬とした。

* * *

 レムデシビルの国際共同試験(第3相)のうち、AST増加3.4%、ALT増加2.3%が確認されています(トータル症例数1062例)。DDW-J2004薬物性肝障害ワークショップのスコアリングでは、今回の症例は肝障害型に分類されています。全日本民医連に報告されているレムデシビルの副作用は合計11例ですが、そのうち9例が肝機能障害でした。レムデシビルの添付文書には「肝機能障害があらわれることがあるので、投与前及び投与開始後は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること」と記載されています。実際に肝機能障害を起こすケースが報告されていますので、定期的な血液検査を行いましょう。

(民医連新聞 第1783号 2023年5月22日)

 

 副作用モニター情報〈601〉 抗コロナウイルス剤(内服薬)による副作用
 今回は、当モニターに寄せられた抗コロナウイルス剤のラゲブリオ(一般名:モルヌピラビル)、パキロビッドパック(一般名:ニルマトレルビル・リトナビル配合剤)の副作用について、紹介します。2022年9月までに、ラゲブリオについては8例(発疹が4例、下痢・吐き気が2例、不眠などの精神症状が2例)、パキロビッドパックについては1例で、いずれも重篤なものではありませんでした。
症例1)60代女性
 抗ヒスタミン剤オロパタジン服用中。
 新型コロナウイルス感染症と診断され、ラゲブリオ服薬開始。
4日目:腕全体に湿疹発現、足にも2カ所の発疹あり。医師に問い合わせ、内服中止。
中止6日後:足にはまだ残っているが、だいぶ改善。
症例2)40代女性
 喫煙者。
 新型コロナウイルス感染症のハイリスクとされたため、ラゲブリオ服用開始。帰宅後、2回目の服用で強い吐き気を感じ、医師に問い合わせた結果、内服中止。吐き気は1日で治まり、新型コロナウイルス感染症も軽症で完治した。
症例3)60代女性
 新型コロナウイルス感染症と診断され、基礎疾患に気管支ぜんそくがあること、ワクチン未接種のためパキロビッドパックが処方された。
内服1日目:下痢・嘔吐(おうと)が発現。計2回内服し、自己判断で中止。下痢は水様便。
中止2日後:下痢がぶり返したが8日後には改善、嘔気(おうき)は改善したが時期は不明。

* * *

 抗コロナウイルス剤の副作用は、感染症の症状と類似している場合は医師でも鑑別が難しいようです。疾患による症状なのか、薬剤による症状なのか、区別できない際は医療機関に相談しましょう。

(民医連新聞 第1789号 2023年8月21日)

 

副作用モニター情報〈629〉 モルヌピラビルの中枢神経症状
 モルヌピラビルの主な副作用は、下痢、悪心嘔吐、浮動性めまい、頭痛、発疹などです。今回中枢神経症状の副作用が報告されましたので、2例紹介します。
症例1)70代後半男性
 喉の痛みで受診、コロナ陽性。モルヌピラビル5日分処方。夕食後から服用開始。初日夜よりおかしな感じあり。2日目、隣人の名前もわからなくなるなど、意識障害の兆候が現れたため、薬の副作用と思い自己中断。中止後回復した。

症例2)80代女性(コロナワクチン6回接種済)
 2日前から咳症状あり、発熱37.2℃で受診、コロナ陽性。モルヌピラビル5日分処方。1回目服用し、2時間後にひどい下痢(下痢は1回のみ)、その後幻覚(青いものが赤く見える)があり、立っていることができなくなって、3日間寝ていた。服用は1回のみ。服用開始3日後回復。コロナワクチンでも同じ症状が出た。
 コロナ感染症罹患後45日後にコロナワクチン接種も、今回はこの幻視症状は出なかった。

* * *

 今回の記憶障害、見当識障害、幻覚、幻視は添付文書に記載がありませんが、市販直後調査220万例のうち、認知症2例(うち重篤1例)、認知障害1例(非重篤)、幻覚4例(いずれも重篤)、幻視2例(いずれも重篤)が報告されています。
 コロナウイルスに感染すると、記憶喪失や脳梗塞など、脳への影響を生じることがあり、COVID-19で入院した患者の80%に神経学的症状が現れたという報告もあります。この2症例の神経症状がモルヌピラビルの副作用によるものか、コロナウイルス感染症罹患によるものか、判断は難しいものの、注意は必要です。

(民医連新聞 第1821号 2025年1月20日号)

  副作用モニター情報〈641〉モルヌピラビル(ラゲブリオ®カプセル)の副作用まとめ

 

 

 

**新連載ご案内【薬の副作用から見える医療課題】**

 全日本民医連では、加盟する約650の医療機関や350の保険薬局からのデータ提供等を背景に、医薬品の副作用モニターや新薬評価を行い、およそ40年前から「民医連新聞」紙上(毎月2回)などで内外に情報発信を行ってきました(下記、全日本民医連ホームページでご覧になれます)。
 今般、【薬の副作用から見える医療課題】として疾患ごと主な副作用・副反応の症状ごとに過去のトピックスを整理・精査し直してまとめ連載していきます。

<【薬の副作用から見える医療課題】>